ビッグモーターだけじゃない! 民間「車検不正」はなぜ絶えないのか 業者&利用客の“なあなあ関係”を断ち切るために必要なものとは
業界大手の不正
国土交通省九州運輸局は3月22日、全国ネットの大手中古車販売業者で、民間車検場として年間多くの車検を手掛けるビッグモーター(東京都港区)の熊本浜線店(熊本県熊本市)に対して、過去に行った車検不正を理由に行政処分として、指定自動車整備事業者(民間車検場)の指定取り消しおよび現場で不正を行った自動車検査員ふたりの解任命令を出した。この処分によって同店は今後2年間指定自動車整備事業者の再申請はできないことになる。
不正内容は、本来確実に実施すべきだった
「スピードメーターの誤差チェック」
を意図的に行わなかったにもかかわらず、行ったものとして保安基準適合証を交付したことだ。
対象となった車両数は過去2年間に検査を行ったなかの58台といわれているが、法的な記録の保管義務は2年間だけのため、それ以前から行っていたのではないかという疑惑も指摘されている。
業界の車検不正は日常茶飯事
この不正が明らかになったのは、先にビッグモーター唐津店(佐賀県唐津市)において車検不正が指摘され、調査の結果、事実と判明したことから保安基準適合証の交付停止15日という行政処分が行われたことに端を発する。
九州運輸局はこの不正を組織的かつ意図的であると重く判断、ビッグモーターの他店舗への監査を行う過程で熊本浜線店での不正も発覚した。
なお、ビッグモーターは先に事故修理で入庫した車両に関して、損害保険金の水増し請求を行っていたことが指摘されており、会社全体の順法意識に大きな問題があることが改めて確認された。
今回、対象となった業者が全国的に店舗を展開する大手だったこともあり、ニュースなどで大きく取り上げられることとなったが、実は民間車検場による車検不正は
「毎年幾度となく発覚」
し、その都度行政処分が課せられている。
不正の内容は単なるミスから今回の様な意図的なものまでさまざまであり、見方を変えれば制度そのものに構造的な問題があるといえなくもない。