ビッグモーターだけじゃない! 民間「車検不正」はなぜ絶えないのか 業者&利用客の“なあなあ関係”を断ち切るために必要なものとは
ビッグモーターが過去に行った車検不正を理由に、民間車検場の指定取り消しおよび、自動車検査員ふたりの解任命令を出された。同社だけでなく、業界の不正はなぜ絶えないのか。
車検制度の原則と現状

ご存じの通り日本の車検制度は原則としては
「各地の運輸支局に併設された検査場」
で検査を実施するが、運輸支局だけで必要とされる新規および継続の全ての車検をこなすことは、検査場の処理能力から見ても不可能である。
そこで、資格のある整備士を擁して検査設備を整えた上で認可を得れば、運輸支局によるものと同じ検査と認証を行う許可を与えられたのが指定自動車整備事業者だった。いわゆる“民間車検場”である。
ここでは公的機関と同じ検査と認証が民間でも許可される代わりに、極めて厳格な順法意識に基づいた正確な検査が要求されている。
ユーザー側にも責任

しかしともすれば楽な方向へと流れるのは人間の性でもある。検査を実施する側にとって見れば、検査項目のなかでも手間が掛かるものを省くことができれば作業時間が短縮でき、結果として作業コストを下げられる。
また、検査を受けるユーザー側のなかにも
・「大丈夫でしょ」という安易な気持ち
・車検費用の節約
を求める例も多々ある。
今回のビッグモーターによるスピードメーター不正検査の内容は、いずれも検査の前段階として通常の検査とは異なる準備作業が必要なフルタイム4WDや特別な検査手順が必要だった一部の外国車に対して行われたものといわれている。
要するに作業する側がわずかな手間を惜しんだ結果の不正だったというわけである。その背景には
「バレなければよいだろう」
という許し難い意識があったことは疑い。