「キッチンカー」コロナ禍で急増も “移動できる”が裏目に、固定客付きにくい現実 コロナ後は生き残れるか?
コロナ禍による「巣ごもり需要」の追い風を受けて、存在感を増したキッチンカー。その課題とは何か。
キッチンカーの目指すべき方向性とは

結局のところ、キッチンカーは今後も普及するのだろうか。
まず利用者側から見てみよう。中小企業基盤整備機構が男女1000人を対象にしておこなった「移動販売の性別・世代別の利用状況」では、最も利用頻度が高いのは30代男性で、その約3割が月に1回以上利用しているという。
一方、全体の約3割が「一度も利用したことがない」と回答。特に20代は、男女問わず「まだ一度も利用したことがない」と回答した人が4割程度に上っている。
また、大阪府の泉北地域に位置する和泉市において、市内の公園でキッチンカーを設置した社会実験を実施。実験の結果、利用者は
「10分圏内の近隣から徒歩でやってきた家族連れ」
が最も多かった。また、立ち寄ったきっかけは「通りすがり」が最多だった。
これはキッチンカーの商圏の狭さと、販促の難しさを如実に表しているといえる。また利用者アンケートからは、固定の店舗と異なり、多種多様なメニューをすぐに提供できないという点も不満点として上がっていた。
コロナ禍をきっかけにレッドオーシャンになりつつあるキッチンカー。生き延びる努力はどの業態でも必要だが、打てる手段の少ないキッチンカーの今後はどうなるのか。せっかく盛り上がったキッチンカーのブームが、コロナ禍とともに去らないよう、心から願っている。