盗電上等? 「車中泊」マナー違反という現代人の病理、そもそも「道の駅 = 宿泊施設」でないと知れ

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車中泊を利用する人が急増しているが、それとともに、マナー違反も目に付くようになっている。なぜ、ここまで問題化してしまったのか、考える。

利用急増と共にマナー違反も増加

車中泊のイメージ(画像:写真AC)
車中泊のイメージ(画像:写真AC)

 新型コロナウイルス感染拡大以降、感染リスクを避ける目的などで車中泊を利用する人が急増している。2022年にホンダアクセスが実施した「秋レジャーと車中泊に関する調査2022」によれば、回答者1000人のうち44.3%が車中泊の経験があると回答。前回2021年の調査から9.0ポイントの大幅上昇を示している。リーマン・ショック以降、旅行の費用を節約する方法としても知られるようになった車中泊だが、現在では新たな旅のスタイルとして定着したともいえる。

 しかし、車中泊の普及と共に、マナー違反も目に付くようになっている。とりわけ目立つのは、「道の駅」の度を越えた利用方法だ。長時間の駐車や、コンロなど火気の使用に始まり、身体障害者など向け多機能トイレのシャワー設備を風呂代わりにする人もいるという。施設のコンセントを勝手に使う「盗電」や、水を大量に利用するといった迷惑行為も、よく話題になっている。

 このため、道の駅では車中泊の禁止を明示するところも増えている。例えば、阿蘇五岳が一望できるスポットとして人気の熊本県にある道の駅「あそ望の郷くぎの」では、マナー違反が目立ったことから、現在では「当館利用以外の長時間駐車お断り」「テント設営、コンロ等火器使用禁止」の看板が設置されている。

 一方で、車中泊でキャンピングカーを利用する人は、比較的裕福な層が多いと考えて、「買い物などで利用してもらえる」と制限を設けていない道の駅も多い。また、マナー違反そのものも地域によって多寡があるようだ。

 各地域の新聞記事を見てみると、車中泊の増加によってマナー違反が発生していることや、道の駅が宿泊行為を禁止したことを報じるものが見つかる。一方で、栃木県の『下野新聞』2022年9月25日付に掲載された記事では「県外では、ごみや騒ぐ声などが問題視されることもあるが、県内はそうでもないらしい」として、同県の道の駅連絡協議会の「車中泊に関する苦情はない」というコメントを掲載している。特にネットでは、際立った迷惑行為ばかりが目に付いてしまうが、実際にどの程度の車中泊利用者がマナー違反をしているかは、判然としない。

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