「10トントラック = 10トン積める」は大間違い! それを知らない荷主もいるし、知ってて“過積載”依頼の荷主もいる現実

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積み荷の制限で大きな影響を与えるのは「重量」である。トラックに何tまで積むことができるのか、そして実際何t積むのかは、荷主にとっても運送会社にとっても常に気になる事柄だ。

過積載を依頼する荷主も

過積載のイメージ(画像:写真AC)
過積載のイメージ(画像:写真AC)

 しかし、荷主のなかには、

「大型車 = 10t、中型車 = 4t」

を積めると思い込んでいる者もいる。そのため、最大積載量が3.5tしかない場合でも「4tまで運べるだろう」と運送会社に輸送を依頼するケースがある。なかには、最大積載量を知っていても、それを上回る重量の輸送(過積載)を依頼する者もいる。

「多少の重量オーバーであれば大丈夫だろう」

という認識で、無理な要求を運送会社にしているのである。コンプライアンス順守が何より重視される昨今、過積載については運行を断る運送会社がほとんどであろう。しかし、運送会社のなかにも荷主からの依頼だけに限らず、自社の判断においても

「今回だけは目をつむる」

といって運行を引き受けてしまうところがある。

 特に、1個の荷物のサイズが小さくて重量が重いもの(食料品であれば飲料、雑貨品であれば鉄製のものなど)は、トラックの荷台容積の半分くらい積んだだけで最大積載量をオーバーしてしまうこともある。

 荷主の見た目には「もったいない」と映るのかもしれない。もう少し積むことができたら運行台数を減らすことが可能となり、物流コストを削減できるかもしれないという発想は自然かもしれない。

 しかし、法令を順守し、安全を確保するうえでそれは許されない。その場合は

・輸送を依頼するトラックを大型化する
・トレーラーを活用する

といったことを検討すべきである。

 過積載を行った場合、条件によっては6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられる。これは、過積載での運行を無理に指示した荷主にも適用される。

 何より、過積載が原因で事故を発生させた場合、運送会社、荷主とも企業の存続にも関わる問題となりかねない。積み荷についての法令やコンプライアンスを守ることは当然であり、

「安全に勝る利益はない」

のである。

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