もうイライラしない! 騒音トラブルとは無縁の、欧州「サイレント車両」をご存じか
列車内での「音」問題の解決策として、ヨーロッパでは「サイレント車両」を導入する鉄道会社が増えてきた。どのようなものか、解説する。
厳しく「音」を制限

車内マナーのひとつに、「大きい音を立ててはいけない」というものがある。携帯電話の通話はもちろんのことだが、イヤホンから漏れる音や、大きい声での会話など、静かな車内では特に周囲へ配慮しなければならない。配慮を怠った行動をすれば、当然トラブルの発生につながる。
実際、列車にはいろいろな目的や用事で乗車している人がおり、中には静かに過ごしたい人もいるはずだ。出張や仕事で利用しているなら、この後行われる会議のため、資料に目を通さなければならないかもしれないし、仕事が終わった後なら、つかの間の休息を取りたいと思う人だっているだろう。
読書をしたり、ゆっくり車窓を眺めたり、物思いにふけりたい人もいるはずだ。にもかかわらず、近くの席で騒々しくされたら、「もう少し静かにしてくれないか」と思うのも無理はない。
しかし一方で、休暇で家族や友人たちと出かけている人たちもいるはずだ。完全に羽目を外した大声での会話は、公共の場ではご法度とはいえ、もし久しぶりに会う友達同士なら、多少のおしゃべりはしたいと思うものだ。家族で出かける子どもたちも、久々の旅行となればはしゃぎたくなる。その気持ちは理解できる。
この問題に対するひとつの答えとして、ヨーロッパでは「サイレント車両(クワイエット車両など、列車によって呼び方が異なる)」を導入する鉄道会社が増えてきた。サイレント車両とは、文字通り音を発することが禁止されており、あらゆる音に対して厳しく制限を設けた車両と言える。