もうイライラしない! 騒音トラブルとは無縁の、欧州「サイレント車両」をご存じか

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列車内での「音」問題の解決策として、ヨーロッパでは「サイレント車両」を導入する鉄道会社が増えてきた。どのようなものか、解説する。

分煙ならぬ「分音」?

車内での携帯電話の使用ルールは、日本とは異なり通常の車両では認められていることが多く、禁止の場合は表示される(画像:橋爪智之)
車内での携帯電話の使用ルールは、日本とは異なり通常の車両では認められていることが多く、禁止の場合は表示される(画像:橋爪智之)

 サイレント車両では、携帯電話の通話は当然として、車内でイヤホンから音漏れがするほどの大音量での再生や、乗客同士の会話も禁止され、運行中は、起終点の案内や緊急時以外の車内放送もない。必然的に、特に小さい子ども連れでの乗車は難しいことになる。

 非喫煙者に配慮し、たばこが吸える場所を分けることを「分煙」というが、それならばこれは、静かに過ごしたい人と会話をしたい人で区画を分ける「分音」とでも呼べばよいのだろうか。サイレント車両を設定している列車では、だいたい、ひとつの編成の中で、1等車、2等車にそれぞれ1両ずつ、こうした区画を設けている場合が多い。

 このように分けることで、乗客同士でトラブルとなることも減るだろうし、実際それぞれの乗客は自分の好きなように車内で過ごしたいだろうから、積極的に分けたら良いと思うが、現実は全ての列車へ導入することは難しいと言えるだろう。

 まず、サイレント車両と通常車両の比率をどうすべきか、という問題がある。長い編成であれば、そのうちの何両かをサイレント車両として指定すれば済むが、短い編成であればそれも難しい。パーティションで仕切って1両の中で半分ずつに分ける、というのも現実的ではないから、ある程度の長編成でなければ設定できない。

 ヨーロッパで今も多く残る客車列車も、サイレント車両導入を難しくしている要因と言える。客車列車は編成が固定されておらず、日によって1両単位で増解結ができるため、柔軟な運用が可能となる利点があるが、それは裏を返せば、常に編成が変わる可能性がある、ということになる。

 そうなると、編成の中のどの車両をサイレント車両に指定するかが日々変化する可能性があり、利用客への案内がしにくい。実際、サイレント車両が設定されている列車を挙げてみると、ユーロスター、タリス、TGV、フレッチャロッサ、AVE、レイルジェットなど、編成が固定された列車がほとんどだ。

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