タクシーアプリ人気も いまだに「タクシーのりば」を使う人が絶えない根本理由

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タクシーアプリ利用者は2021年時点で「2割未満」。いまだにタクシー乗り場に並ぶ人を見かける機会も多い。いったいなぜか。

タクシーアプリ利用者「2割未満」

テクノロジーの進化によって、タクシーの配車も便利になった(画像:写真AC)
テクノロジーの進化によって、タクシーの配車も便利になった(画像:写真AC)

 近年、さまざまなタクシーアプリがリリースされている。タクシーアプリを使えば、わざわざタクシー乗り場で並ぶことなく車両を捕まえられる。

 しかし、ICT総研が2021年におこなった調査によると、「1年以内にタクシーアプリを利用したことがある」と答えた人はわずか

「14.8%」

にとどまった。そのうち約17%の人が「3年以内に利用したい」と回答しているものの、いまだにタクシー乗り場に並ぶ人を見かける機会も多い。

 なぜ、このような状況が生まれているのだろうか。

知られざる「入構証」のシステム

タクシー配車アプリ利用時の移動目的(画像:ICT総研)
タクシー配車アプリ利用時の移動目的(画像:ICT総研)

 タクシー業界には「入構証」というものが存在し、タクシーアプリがあっても、本当にタクシーを呼びたい場所には呼び出せないケースがある。

 同ルール制定のきっかけは、主要駅のタクシープール(タクシーの待機所)がタクシーであふれかえり、渋滞を引き起こす原因になっていたためだ。そこで一部の駅や施設は、特定の事業所に配属しているタクシー1台ずつに「入構証」を発行する方式を導入した。

 さらに、整理員の配置や一部のタクシープール、タクシー乗り場の整備も実施した。これによって混雑緩和を狙ったが、それでも解決しない地域は存在する。

 そのため国土交通省は、渋滞がひどい一部地域を「指定した時間内における乗車禁止地区」と指定した。つまり、たとえ道で手を挙げている客がいても、指定された時間内に区域内で乗せてはいけないというルールだ。

 当該ルールが施行された代表的なタクシープールである東京駅八重洲口タクシー乗り場は、一部区域での待機が禁止になった。銀座や内幸町・国会通り、六本木交差点の駐停車禁止区域内などではタクシーの客待ち駐車を禁止とした。大阪府でも、北新地エリアおよび南地エリア内の客待ちは禁止されている。

 普段便利に使えるからこそ、いざ乗りたいときに「ここはダメ」はがっかりする。タクシーアプリを使わずに列に並ぶ人には、そういった意図があるのかもしれない。

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