JR四国が「駅の商業施設化」に全集中するワケ 現在高松駅で新駅ビル工事急ピッチ、赤字ループの特効薬となるか?
財政再建の鍵は非鉄道部門の増収

JR四国が新高松駅ビルの整備を進める背景には、厳しい経営状況がある。連結売上高の4割強を占める本業の鉄道事業は2021年度、
「2年連続で8線区すべての区間が赤字」
を計上した。全線の営業損失は199億3400万円。鉄道運輸収入は132億1400万円で、JR四国が発足した1987(昭和62)年度の半分に落ち込んでいる。
2021年度連結決算の売上高は311億円。ホテル事業などが収入を伸ばしたものの、コロナ禍が響いて前年度に次ぐ過去2番目に低い数字となった。逆に営業費用は533億円。営業損失は221億円で、過去2番目に大きかった。
2022年度上半期は行動制限の緩和などから売上高が前年度同期より45%多い188億円に達したが、87億円の営業損失が出ている。
JR四国は発足以来、一度も
「黒字経営を達成したこと」
がない。
四国の人口減少を考えると、先行きに明るさが見えないが、2030年度までの長期経営ビジョンで連結売上高をコロナ禍前の489億円から600億円に拡大する目標を掲げている。このうち、鉄道事業はコロナ禍前の数字を維持するとし、ホテルや駅ビル経営を増収の柱に位置づけている。
駅施設が小規模なワケ

ホテルは四国4県に七つ、兵庫県姫路市にひとつの計8施設がオープンしている。愛媛県宇和島市の宇和島駅や徳島県徳島市の徳島駅ではホテルが駅ビルに入居し、駅周辺のにぎわい創出に貢献してきた。
しかし、駅ビルの商業施設は徳島駅に約80店が入る「徳島駅クレメントプラザ」が開業しているものの、香川県丸亀市の丸亀駅などほかは少数の店舗が入る小規模施設でしかない。運行路線の大半をローカル線が占め、一定の収入を見込める都市が4県都しか見当たらないことが影響している。
愛媛県松山市の松山駅や高知県高知市の高知駅が市の中心部から離れているのに対し、高松駅は市中心部の一角に位置する。高松市の人口は2月現在で約41万人。松山市の約50万人に次ぐ四国2位の規模を持つ。
しかも、高松駅は1日平均乗車人員が2021年度で9473人。2位の徳島駅を4000人近く引き離してJR四国の駅でトップを占め、私鉄を含めても松山市の伊予鉄道松山市駅に次ぐ。JR四国が増収を目指して商業施設を誘致するにはもってこいの場所といえる。