神戸空港の国際化決定も「ポートライナー」今でも大混雑、新地下鉄構想浮上で巨額建設費どうするのか

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国際線就航が決定した神戸空港のアクセス鉄道となるポートライナーの混雑が大問題に浮上している。神戸市は2023年度から本格的な対応検討に入るが、妙案はあるのだろうか。

ラッシュ時のポートライナーは大混雑

ポートライナー(画像:写真AC)
ポートライナー(画像:写真AC)

 国際線就航が決定した神戸空港のアクセス鉄道となる神戸新交通ポートアイランド線(ポートライナー)の混雑が大問題になっている。神戸市は2023年度から本格的な対応検討に入るが、妙案はあるのだろうか。

「リュックサックをお持ちのお客さまは体の前でお持ちください」

平日朝のラッシュ時、ポートライナーの車内にこんなアナウンスが流れる。車内はキャスターバッグを引きずる神戸空港利用客と通学の中高生、通勤のサラリーマン、OLで足の踏み場もない。

 神戸市の中心部・三宮と人工島・ポートアイランドを経由して神戸空港(神戸市中央区)を結ぶ神戸新交通のポートライナー。この時間帯は2、3分間隔で運行が続くが、ラッシュ時間が終わるまで混雑が絶えることがない。

「始発の三宮駅では乗車待ちの列に並ぶと、1、2便待たないと乗車できないこともある。コロナ禍前から変わらない」

と、ポートアイランドに向かう会社員の女性(41歳)。神戸空港に国際線の就航や国内線の増便が実現すれば、さらに混雑することが予想されている。

神戸空港は「地方空港」

神戸空港(画像:(C)Google)
神戸空港(画像:(C)Google)

 神戸空港は2006(平成18)年、人工島に建設された関西ふたつ目の海上空港として開業したが、1970年代に関西新空港の最有力地とされながら、当時の宮崎辰雄市長、神戸市議会が強く反対し、大阪府の泉州沖に関西空港が建設された背景を持つ。

 このため、神戸市が方針を転換して空港建設に踏み切って以来、海上空港という高い潜在能力を持ちながら、神戸市とその周辺の国内線需要を満たす地方空港と位置づけられてきた。滑走路も欧米行きの便を飛ばせない2500mにとどめられ、1日の発着枠を制限されている。

 2022年9月の関西3空港懇談会で国際線就航を認められたのは、開港以来の悲願達成といえ、大阪・関西万博がある2025年から国際線就航が段階的に進む予定である。神戸市は早速、サブターミナルの基本計画案をまとめ、市民から意見募集に入っているが、長年の課題となってきた空港アクセスの改善は積み残されたままだ。

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