JR四国が「駅の商業施設化」に全集中するワケ 現在高松駅で新駅ビル工事急ピッチ、赤字ループの特効薬となるか?

キーワード :
, ,
約70の店舗が入居する新しいJR高松駅ビルの新築工事が2023年度下期の完成に向けて急ピッチで進んでいる。経営危機のJR四国は駅周辺の活性化と増収を期待しているが……。

約70のスーパーや専門店、飲食店が出店

工事が進む高松駅ビル。右側が工事区画、中央が駅舎、左がCOM高松(画像:高田泰)
工事が進む高松駅ビル。右側が工事区画、中央が駅舎、左がCOM高松(画像:高田泰)

 約70の店舗が入居する新しいJR高松駅ビルの新築工事が、2023年度下期の完成に向けて急ピッチで進んでいる。経営危機のJR四国は駅周辺の活性化と増収を期待している。

 引っ切りなしに重機が出入りし、工事のつち音が響く。建築工事用シートの向こう側で作業員が足場の上を忙しそうに動き回る。香川県高松市浜ノ町のJR高松駅北側。新高松駅ビルの新築工事が急ピッチで進められている。

 出張帰りのサラリーマン(39歳)に話を聞くと、

「高松駅は四国の玄関なのに、駅ビルが小さすぎた。大都会並みとはいかなくても、それなりの規模のショッピングセンターがあれば駅前がもっとにぎわうはず」

と完成を楽しみにしていた。

鉄骨4階建て、約9000平方メートル

高松駅の位置(画像:(C)Google)
高松駅の位置(画像:(C)Google)

 新高松駅ビルはスーパーの跡地と隣接する駐車場、駐輪場など約5200平方メートルの敷地で2022年3月に着工された。完成予定は2023年度下期。工事の進捗(しんちょく)率は2022年12月末現在で30%まで進んでいる。

 建物は鉄骨4階建て延べ約9000平方メートルの商業施設と、鉄骨地下1階、地上4階建て延べ約5500平方メートルの立体駐車場。スーパーや飲食店、物販店など約70店と約160台分の駐車場、約390台分の駐輪場が入る。

 商業施設は1階にスーパーや飲食店、2階に飲食、物販店、3階に美容院やエステティック、4階に屋上広場などを予定している。高松駅構内にある既存の商業施設「COM高松」(約20店)とは、テナントの重複を避けて一体運営される。当初はもっと大規模の施設で2021年度の完成を目指していたが、コロナ禍で規模を縮小し、着工を遅らせた。

 新高松駅ビルの開業で見込んでいる年間売上高は60億円程度。JR四国は

「コンパクトな規模だが、県都の玄関口にある街の顔にふさわしい施設を目指したい」

と意気込んでいる。

全てのコメントを見る