EVシフト「部品点数」激減で、部品メーカーの生き残り合戦が始まった! 愛知のホンダ系企業が選んだ「社員を生かす」道とは

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自動車のEV化が進めば、既存の部品メーカーは仕事を失う可能性がある。新たな領域に取り組む企業を紹介する。

AI導入で「人はもっと、人らしく」

武蔵精密工業の作業割合(画像:Musashi AI)
武蔵精密工業の作業割合(画像:Musashi AI)

 Musashi AIが注力している自動車業界の課題は次の3つだ。

・少子高齢化に伴う人手不足
・品質問題
・働き方改革

 労働集約型の産業では、人手不足が事業の継続に直結する。少子化で採用は難しくなり、高齢化のために熟練技術者のノウハウの承継も難しくなっている。人を有効に活用するには、体力のない人も安全に作業できる環境を整える必要もある。

 これまでもピッキング・材料投入、組み立ての工程では自動化が進められてきた。しかし、いまだ多くの部分を人が担っている工程がある。Musashi AIが着目したのは搬送と検査だった。

 当初、同社が自動化を目指したのは「ベベルギア」という自動車部品の検査だった。同社によると、ベベルギアの不良品発生率は0.002%程度だという。その目視検査に、人が1日に働く8時間を割くことは、建設的といえるのだろうか。昨今話題になった部品のデータ改ざんなどの品質不正の遠因は、人手不足や現状の働き方に問題があったのかもしれない。

 これからの課題について同社が出した答えが、検査工程にAIを導入することだった。