EVシフト「部品点数」激減で、部品メーカーの生き残り合戦が始まった! 愛知のホンダ系企業が選んだ「社員を生かす」道とは
自動車のEV化が進めば、既存の部品メーカーは仕事を失う可能性がある。新たな領域に取り組む企業を紹介する。
EV化で減る自動車の部品

電動化された自動車を日常的に使うユーザーは、車が提供するデジタル体験に、他のスマートデバイスから得られるデジタル体験と同じか、それ以上の体験を期待するようになる。
将来は車の革新の90%をソフトウエアが占めるようになり、その結果、プログラムのコード数は現在の100倍になるという説もある。
なぜ自動車業界がこれほど注目されるのだろうか。それは、自動車産業が裾野の広い業種だからだ。自動車関連産業の就業者数は約550万人。日本の全就業数は約6300万人なので自動車関連の仕事に就く人は全体の1割近くを占める。
ただしこの数字には自動車を利用した貨物や旅客運送、販売や整備関連も含まれている。自動車製造に限れば約80万人であるが、それでも日本の製造業全体の10%に近い。
そのうちほとんどが部品・付属品のメーカーであることから、自動車のEVシフトが業界へ与える影響が大きいことが分かるだろう。
EV化すると自動車の構造はシンプルになる。これまでのものづくりは、長年の経験に裏打ちされた熟練の技術者が支えてきた。
しかしEV化が進みソフトウエアが中心になると、伝統的なものづくりは必要がなくなってくる。米アルファベットや米テスラなど、ソフトウエアの開発に強い会社がEVをリードしているのはそのためだ。
自動車の部品そのものは、自社開発せず必要なときに外から調達すればいいという発想になるため、電動化するとエンジンやトランスミッション(変速機)などの部品点数が減ることは避けられない。
こうした事情から、新たなビジネスチャンスへの参入、あるいは生き残りをかけて自動車業界もデジタルテクノロジーに取り組んでいる。