コロナ禍の東京で全然増えなかった「自転車通勤者」 利用者40%増のロンドンと何が違ったのか?

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コロナ禍で、自転車利用の増加がそれほどでもなかった東京と比べ、ロンドンでは40%も増加したという。なぜ日英で差がついたのか、ロンドンの状況を解説する。

参入障壁を下げたボリス・バイク

ロンドンの街並み(画像:写真AC)
ロンドンの街並み(画像:写真AC)

 そうした心配をしなくていいのが、レンタサイクルである。通称「ボリス・バイク」(ボリス・ジョンソン元首相が市長時代に導入したため)は1万2000台以上あり、市内800カ所に「ドッキング・ステーション」が設置されており、目的地近くのステーションに返却すれば、管理の必要がない。

 利用は増加傾向にあり、2022年は1150万回利用され、これは2021年より 56万回以上多いという。30分1.65ポンドから利用でき、月額20ポンド、年間120ポンドで1回60分間は追加料金なく乗れる。電動自転車もあるのがさらなる強みと言えるだろう。

 自転車利用を促進するには、安全対策も必須だ。ロンドン市は、2041 年までに路上での死亡者と重傷者をすべてなくす「ビジョン・ゼロ」プランを掲げる。

 危険な交差点の改修のほか、自動車の速度制限などを取り入れていく。アクションプランには、自転車利用者向けの啓発活動も含まれている。例えば、横断歩道優先なのにそれを無視する自転車も問題となっている(2023年2月11日付、『Daily Mail Online』)。

 自転車、車、歩行者、それぞれの間で起こっている問題を解決していくことも必要で、課題は多い。

 とはいえ、市と交通局の取り組み、それに社会状況も相まって、ロンドンの「自転車ブーム」は定着しつつあるといえるだろう。

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