物流ドライバーの熟練テクを軽んじる荷主たち 「下請けの分際で」高齢社長の呆れた放言も、ホンネは「ドライバー様様」の痛々しい現実

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私たちの日常を支えている物流業界。そんな同業界で聞かれる、荷主からの「代わりはいくらでもいる」の言葉。このままでいいのか。

物流業界の志望者「0%」の大学も

鋼材を運ぶトラック(画像:写真AC)
鋼材を運ぶトラック(画像:写真AC)

 これに対して、1990年代から労働問題に取り組んでいる革新系市議の話。

「その原因も、それを一番理解していないのも国ですよ。はっきり言って「日本人の代わりはいくらでもいる」とすら考えている。人の能力値や経験値を軽く見ている。人間は安くてもいい、人間の代わりはいくらでもいる、がこれまでの国の方針だったじゃないですか」

 彼の政治的な面は差し引かなければならないが、30年間賃金が上がらず、これまで現場の技術者や工員、そしてドライバーの労働環境がないがしろにされてきたことは事実だろう。技術者を志す学生は減り続け、物流の志望者は1桁どころか大学の調査によっては

「0%」

という例もある。国のあらゆる経済政策や法制度によってぞんざいに扱われ、よくわからない連中が入り込んで不当な利益を抜いていく業界に、若者は夢を見ない。日本の現場が報われていないことは、若者も見抜いている。

 中堅食品メーカーの物流課の担当者は「経営者の問題もある」と語る。

「各企業の担当も荷主として「代わりはいくらもいない」なんて本音ではわかってる話なんですよ。これから先はどうなるのかと怖いくらいです。でも経営サイドにわかっていない連中がいる。上の意向ではどうにもならない。時代が平成どころか昭和のままで、いまだに「下請けのくせに」「出入り業者の分際で」というオーナーもいます。それに迎合する役員もいる。もう70歳とか80歳なんで退場してもらいたいんですけど「人生100年時代だ!」なんてふんぞり返ってます。年齢で差別するつもりはありませんが、権力があるからと昔の感覚で労働市場を悪化させるのはどうかと思うのです。残念ですが、いまさら言っても変わらないでしょうし」

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