物流ドライバーの熟練テクを軽んじる荷主たち 「下請けの分際で」高齢社長の呆れた放言も、ホンネは「ドライバー様様」の痛々しい現実

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私たちの日常を支えている物流業界。そんな同業界で聞かれる、荷主からの「代わりはいくらでもいる」の言葉。このままでいいのか。

専門業者は「高くても構わない」の声

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 当媒体の拙ルポ「下請けイジメ横行の運送業界 価格交渉すれば「代わりはいくらでもいる」と嘲笑、経産省「価格転嫁調査」でわかった“美しい国”ニッポンの現実」(2023年2月12日)でも書いたが、

「代わりはいくらでもいる」

という言葉は物流業界、いや日本全体の労働現場においていまだに使われている。

 当該記事そのものは経済産業省の中小企業庁による調査の結果、大手運送会社が軒並み下請けの運送会社、個人ドライバーに価格転や価格交渉の拒否をしている実態(日本郵便に至っては全業種・全企業で最下位)と末端の宅配現場の声を取り上げたものだが、冒頭の役員の言葉通り、「代わりなんていくらもいない」どころか

「あなたがたでなければ運べません」

という輸送サービスもある。

「2024年問題なんて言われていますが、私どものような特殊輸送では今に始まったことでなくずっと深刻です。信用ある企業、ベテランドライバーでこの業界にある程度の理解がないといけない。ほとんど知られていないでしょうが、遊技台を運ぶドライバーの研修だってあるんですよ。新台だけでなく廃棄台だって何かあったら大変です」

 2024年問題とは、同年にトラックドライバーの時間外労働の規制が強化される問題を指す。

 今回は別件取材と合わせてお話を聞いたので「パチンコ業界」における輸送の話となったが、この特殊輸送と呼ばれるジャンルは多岐にわたる。なじみのある石油製品(特に産業用)はもちろん医薬品や医療機器、鉄道車両や航空機などの本体および大型部品はもちろん、今回のような遊技台やアミューズメント機器、研究施設の設備や半導体検査機器などの学究、IT関連。個人だとピアノや美術品なども「特殊輸送」だろう。

 筆者(日野百草、ノンフィクション作家)の友人のピアニストは

「専門業者とベテランドライバーでなければ運ばせたくないし、高くても構わない」

と言っている。

 プロである彼からすれば「代わりなんていくらもいない」し、「あなたがたでなければ運べません」なのだろう。これが石油、ガス、医療となればさらに社会的影響は大きい。必要な資格も多い。コロナ禍の検査機器や検査キット、ワクチン輸送の問題が多くのメディアで取り上げられたことは記憶に新しい。

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