率直に問う 「ドイツ製戦車」はなぜ世界中から支持されるのか? 「レオパルト2」ウクライナ供与で考える

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レオ1、レオ2の独戦車がそろってウクライナの戦場で活躍することになるようだが、なぜこれほど独戦車はこれほど人気があるのか。

「中古バーゲンセール」で市場拡大

M1(画像:アメリカ陸軍)
M1(画像:アメリカ陸軍)

 レオ1の成功で「戦車王国」の看板を復活させたドイツは、1970年代に入ると第三世代MBT・レオ2を開発する。レオ1の成功で市場開拓に成功したドイツにとって、レオ2の販売は容易だったろう。レオ1導入国の大半は次期MBTの選定で、引き続きドイツ製のレオ2にする確率が高いからだ。

 しかもレオ2もレオ1と同様に顧客の独自仕様や数十年後の大規模な近代化改修にも応じられるよう、余裕を持たせたレイアウトに努めている。将来のバージョンアップを前提にしたプラットホーム(車体)設計」は、ある意味第2次大戦からのドイツの「お家芸」である。

 加えて、レオ2が世界中で使われている理由には冷戦終結が大きく関係する。東西対立が終焉(しゅうえん)し東西統一を果たしたドイツは、「平和の配当」とばかりに大胆な軍縮に走り、数千台を保有するレオ2の大半を安価で手放した。

「第三世代MBTなど夢のまた夢」

と諦めていた中小国にとっては夢のような話で、欧州や中南米、アジアの国々がこぞって買い求め、結果的にドイツ戦車の市場を拡大する結果となり、さらに人気が高まるという「好循環」を生み出している。

 一方、同じ第三世代の、例えばM1は前述の「米軍第一主義」を忠実に踏襲し、高性能を極めエンジンにはジェット戦闘機と原理的には同じ「ガスタービン」を搭載するが、レオ2はもちろん、大半の戦車が採用する「ディーゼル」に比べて燃費が驚くほど悪く、メンテナンスも面倒なことから、導入国はアラブ産油国の一部や豪州など数か国に限られる。

 またチャレンジャーも、相変わらず「装甲・戦車砲重視」に固執し、重量はMBTの限界とも言うべき「70t」に達し、戦車砲も120mmでありながらNATO規格ではない独自仕様であることから、欧州での採用は皆無で中東の数か国が導入するにとどまる。

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