率直に問う 「ドイツ製戦車」はなぜ世界中から支持されるのか? 「レオパルト2」ウクライナ供与で考える
レオ1、レオ2の独戦車がそろってウクライナの戦場で活躍することになるようだが、なぜこれほど独戦車はこれほど人気があるのか。
戦車を中核にした機甲部隊と「電撃戦」

独戦車人気のベースには戦車という、新兵器の利点を見抜き、実戦で応用したドイツの先進性があるだろう。
第1次大戦で大敗したドイツでは、やがて祖国復活を叫ぶヒトラーが政権を握り、欧州制覇の野望に駆られるが、「西にフランス、東にソ連」と大陸軍国を腹背に抱えて戦力分散が避けられず、国防上極めて不利な状況にある。
とは言え、双方に大軍を張り付けさせては非常に非効率で、膨大な予算もかかり国力がそがれてしまう。東西両戦線で同時に戦火を交えるのは「腹背の敵」の言葉どおり愚の骨頂で、これを解決するには戦場から戦場へと瞬時に移動できる足回りを備えた大部隊を作ればいいとの結論に達する。
そこで第1次大戦に登場し、キャタピラ(履帯)で原野を駆け抜ける新兵器・戦車に目を付ける。
戦車は、
・走:機動力(スピード)
・攻:打撃力(戦車砲の威力)
・守:防御力(装甲の厚さ)
のバランスが重要だ。ドイツは「走」を重視し、次に「攻」、そして「守」には目をつぶる味付けで開発を急ぐ。また戦車を中心に装甲車や自走砲を多数従え、歩兵もトラックに乗せて移動するスピード重視の「機甲(機動装甲)部隊」を編成した。
1939年には、この機甲部隊による世界初の電撃戦で隣国のポーランドを瞬時に制圧し、返す刀で今度は西に進路を変えてフランスに進撃し、あっという間に屈服させた。
第1次大戦の地上戦では
「塹壕(ざんごう)に立てこもっての消耗戦」
が当然の姿だっただけに、多数の戦車を集団で使いスピードで相手を圧倒するという新戦術は、当時の人間の度肝を抜いたに違いない。