率直に問う 「ドイツ製戦車」はなぜ世界中から支持されるのか? 「レオパルト2」ウクライナ供与で考える

キーワード :
,
レオ1、レオ2の独戦車がそろってウクライナの戦場で活躍することになるようだが、なぜこれほど独戦車はこれほど人気があるのか。

ブランド力アップに貢献したドイツ車

フォルクスワーゲンのウェブサイト(画像:フォルクスワーゲン)
フォルクスワーゲンのウェブサイト(画像:フォルクスワーゲン)

 独機甲部隊のキモは秀逸な性能・設計の独戦車に異論はないが、ここではハード面以外の部分、例えば「伝統・伝説」「信頼」「マーケティング」といった「ソフト」がブランド力をアップしている点に注目してみる。分かりやすく言えば、

1.「VW(フォルクスワーゲン)」の普及
2.伝説のロンメル元帥
3.ソ連の最強戦車「T-34」との死闘
4.輸出を念頭に開発した「レオ1」

の主に4点だ。

 まず「1」だが、そもそもドイツは世界屈指の工業大国で特に鉄鋼・金属、機械、化学に強く、戦車という複雑な工業製品を作る能力がある。第1次大戦の大敗後にヒトラー政権は経済復興や近い将来の軍備強化をもくろんで自動車産業に注力し、フォルクスワーゲン(VW)を旗揚げして世界的ベストセラー車「ビートル」を量産した。

 ところが第2次大戦でドイツは再び敗北して東西に分断され、一方の西ドイツは西側陣営に加わり復興に汗を流す。この時大戦前に築き上げたVWを始めとした独自動車産業は、「経済性」「丈夫」「アフターサービスのよさ」の三拍子で世界市場を席巻し、ブランド力も高めながら経済成長を後押しした。

 翻って世界各国の政治家や富裕層、軍幹部など国を動かす上層階級の大半はVWや「メルセデスベンツ」「BMW」などドイツ車になじみ、製品の優秀さ・丈夫さも手伝い

「ドイツ製なら間違いない」

との発想に行きつく。この状況で仮に次期MBTを選ぶとなれば、独戦車が最有力となるのは自明の理だろう。

全てのコメントを見る