江戸時代に空を飛んだ? 伝説の男「鳥人幸吉」をご存じか

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日本の航空機開発の歴史は、実は江戸時代からと極めて長い。先人たちの挑戦を紹介する。

バラバラに飛び散るも断念せず

飛行機のイメージ(画像:写真AC)
飛行機のイメージ(画像:写真AC)

 こうして出来上がった飛行機は、竹とんぼのように垂直に飛んでいく予定であった。本人は自信があったのか、あまり高く飛び上がっては困ると機体に綱をつけて、万が一の時は引き下ろせる準備もしていた。

 そして、いざ実験が始まった。射矢が操縦席に座って足踏み板を踏むと歯車が動き出し、やがて機体は動いた。浮揚したのかどうかは不明だが、かなりの速度で前進して近くの塀に衝突した機体は、バラバラに飛び散ったのである。こうして精魂を込めた射矢の飛行機は、不成功に終わった。その後も、射矢は人力だったのが問題と考え、発動機を利用することも考えたが、ついに完成しなかった。

 現代の視点でみれば、航空力学も考えずに製作した機体が飛ぶはずもない。それでも、ただ情熱だけで「空を飛んでみたい」という願望をかなえようとした先人たちの存在は、これからの航空機開発に勇気を与えてくれるはずだ。

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