トラブル発生、自腹で弁償! 運送業界に巣食うドライバーの「ペナルティ制度」 功罪両方も、人材不足加速させないか

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ドライバーの不満というと「給料が安い」「労働時間が長い」という2点が強調されがちだ。これに隠れて見過ごされがちなのが、ドライバーによる「損害賠償」を巡る問題である。

「安月給」「長時間労働」に隠れた問題

トラック(画像:写真AC)
トラック(画像:写真AC)

 トラックドライバーの人手不足が大きな社会問題になっている。人手不足を解消できない大きな要因は、働き手から見た就労環境への強い不満があり、その点への対策なしに人手不足の解消は困難だといえるだろう。

 さて、ドライバーの不満というと

・給料が安い
・労働時間が長い

という2点が強調されがちだ。確かにいずれも重大な問題だが、これに隠れて見過ごされがちなのが、ドライバーによる「損害賠償」を巡る問題である。

 現役ドライバーなら周知の事実だが、運送業界の一部では、ドライバーが事故や貨物の破損等を起こしたとき、

「当該ドライバーに弁償させる」

ということが当然のように行われている(いうまでもないが、そのようなことを行っていない企業も多数を占めていることは明記しておく)。

 これは後述するとおり一筋縄で解決できる問題ではないものの、職業としてのドライバーの魅力を高めるうえでは、避けて通れない課題だ。

「弁償」の実態

弁償のイメージ(画像:写真AC)
弁償のイメージ(画像:写真AC)

 実態と背景について簡単に整理しておきたい。一部の運送会社では次に述べるとおり、ドライバーへの全額または一部の「弁償(求償)」が行われている場合がある。

 まずはドライバーが交通事故を起こした場合だが、ドライバーに過失がある場合、損害保険に加入している場合でも保険を使わず、弁償させるケースがある。特に過失が明白な「自損事故」などでは顕著だ。一方、「もらい事故」など相手側に過失があるケースは該当しないことも付け加えておく。

 トラックの事故には「貨物事故」もある。ドライバーがフォークリフトで荷役作業をする際に誤って貨物を破損した、といったケースがその代表例であり、やはりドライバーの明確な過失による事故であれば、弁償となるケースがある。

 なお、貨物事故が特に問題になるのは

「引っ越し作業」

である。引っ越しは家具等の破損トラブルが不可避だが、その損害の一部をドライバーや作業員に弁償させるケースがなかなか無くならない(ただし近年は減少傾向にある)。

 以上の交通事故と貨物事故以外も問題が残る。例えば、「鍵などの備品の紛失」といったトラブルは通常は損害保険でカバーされないが、このようなケースでもやはり、弁償となるケースがある。