もはやLCC並み? 大手航空会社の「最安運賃」改変続行、JALも国内線で実質値上げか
JAL国内線で新・運賃体系が4月開始

日系航空会社にも、運賃体系リニューアルの動きが見られる。
日本航空(JAL)は2022年2月、国内線運賃の全面リニューアルを発表した。2023年4月12日搭乗分からが対象。主なポイントは、次の通りだ。
1.「フレックス」「セイバー」「スペシャルセイバー」の3タイプのみ(現在ある9種類の運賃は廃止)
2.クラスJ/ファーストクラス運賃の個別設定
3.往復割引の対象運賃、小児・障がい者・介護帰省割引の対象運賃が拡大
4.乗継運賃の導入
5.国際線導入済み「特典航空券PLUS」の国内線導入
6.払戻手数料の廃止(取り消し手数料を運賃ごと設定)
JALは、「シンプルでわかりやすい運賃ラインアップ」とアピールする。確かに、9種類もあった運賃が3種類になるのは、誰にとってもわかりやすい。
しかし、75日前からの予約で最も安かった「ウルトラ先得」と、28日前までの予約である「先得割引タイプA」では、その金額は今もけっこう異なる。先の予定があらかじめわかっている帰省や旅行などだと、家族分の航空券を購入するなら、最安運賃で早々に予約したほうがお得だ。ひとくくりの運賃になると、おそらく客側の負担は増えるだろう。
「大手 = フルサービス」の崩壊

また、特典航空券はこれまで国内線では
・基本マイル(6000マイル)
・いつでも特典航空券(1万3000マイル)
と固定だった。それが国際線同様、混雑状況に応じ、特典航空券を使う場合のマイル数が変動する。これも近年、国際線の混雑もあり、
「最少マイルでの特典航空券がかなり取りづらい」
という声をよく耳にする。マイルの使いやすさは向上するものの、マイルとはいえ「出費が増える」という印象がぬぐえない。
ただ、JALの国内線新・運賃体系で、受託手荷物が有料の運賃はない。国際線でも最低2個は無料だ。日本ではLCCはともかくとして、大手航空会社で手荷物が有料だと、空港のカウンターが混乱し、利用客の理解も得られにくいだろう。日本人にとって
「大手航空会社 = フルサービス」
という感覚が染みついているのもある。なんとなく「お客さまに一定の配慮も含めたリニューアル」という、何事においても値上げに敏感な日本ならではの事情も垣間見られる。