「鉄道貨物輸送」脱炭素で大注目も 結局、本丸ヨーロッパでも全然拡大していないワケ

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カーボンニュートラルの観点から、世界的に鉄道貨物輸送の拡大が叫ばれているが、日本だけでなく、本丸であるヨーロッパでも思うように進んでいない。いったいなぜか。

ヨーロッパ海運大手が鉄道貨物輸送開始

日本の鉄道貨物輸送のイメージ(画像:写真AC)
日本の鉄道貨物輸送のイメージ(画像:写真AC)

 ヨーロッパで物流を専門とするマースクは、10月末からスペインとイギリスを結ぶ貨物輸送を開始した。なおマースクは、デンマークを本拠地とする国際海運大手のA.P.モラー・マースクの子会社である。

 スペイン東部に位置するバレンシアターミナルからロンドン東部のバーキングターミナルに向けて、生鮮品の輸送に向けて設計した冷蔵コンテナを使って、野菜や果物などを週3便運行している。一方、イギリスからは、スペインに向けて冷蔵を必要としない貨物を輸送しているそうだ。

 今回、マースクが鉄道貨物輸送を開始した背景には、

・ドライバー不足
・幹線道路の渋滞による物流の逼迫
・地球環境対策

がある。

 果物や野菜の収穫期には、1日あたり最大1400台のトラックがスペインの国境を超えて欧州連合(EU)各国に向かっており、少しでも物流の逼迫を緩和させたい思惑がある。また、二酸化炭素排出量はトラック輸送と比較して90%以上削減されるという。

 ドライバー不足による物流の逼迫と地球環境対策は、ヨーロッパだけでなく日本においても物流業界の重要課題であり、その解決策として鉄道貨物の利用を促進する点では似通っている部分がある。

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