財務省「6000億円借りパク」疑惑で発覚 自賠責保険、実は補償額が少なすぎた! 漂う不要論と「任意保険強制」の示す未来とは

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政府と財務省が自賠責保険積立金約6000億円を借りたまま完済していない問題が、現在話題になっている。ただ、昭和時代に作られた自賠責保険の在り方も同時に問われているのだ。

強制保険制度は「絶対に必要」

財布(画像:写真AC)
財布(画像:写真AC)

 また財務省に貸し出したまま原資を枯渇させて、値上げという国民の負担で解決しようとする国土交通省の姿勢は、自賠責保険を運用・管理する能力がないと言わざるをえない。これなら現状の任意保険を強制保険とし、被害者救済事業はまた別途枠を設けるだけで済むのではないか。

 このように、自賠責保険が政府と財務省の都合のいい

「お財布」

になっているというモラルハザード(倫理観の欠如)の現状もまた、自賠責保険不要論に拍車をかけるのかもしれない。自賠責保険の制度維持が、政府と財務省の目的外利用になってしまっている。

 交通事故被害者のためにも、強制保険制度は

「絶対に必要」

である。これは大前提だ。

 しかし、それは現行の自賠責保険で十分なのか。任意保険の強制化のほうがより救済になるのではないか。特に、任意保険の加入率が5割に満たない2輪ユーザーこそ現行の任意保険を強制保険にしたほうが被害者はもちろん、現行の自賠責保険でカバーされない対物賠償や搭乗者傷害などユーザー救済につながると考える。

 結局のところ、ほとんどのユーザーからすれば任意保険に入ることが当たり前であり、その足しにもならない、補償額ですらない自賠責保険に意味を見いだすのは容易でないだろう。ましてやそのほとんどが政府と財務省の懐に入れられ、肝心の交通被害者救済に使われていないどころか、原資不足で値上げの現実がある。

 1955年に誕生したころとは時代も環境も、そして財務省含めた政府の姿勢まで変わってしまった今、自賠責保険に対する信頼そのものもまた、大きく揺らぎ始めている。