激変する「京急大師線」沿線 マンション乱立で新住民流入、路線利用者2割増の真実とは

キーワード :
, , ,
現在、京急大師線沿線の風景が変わっている。新たなマンションが多くつくられ、新住民も増えている。いったいなぜなのか。

「川崎縦貫高速鉄道」計画の再浮上なるか

川崎縦貫高速鉄道線の路線計画図(画像:川崎市)
川崎縦貫高速鉄道線の路線計画図(画像:川崎市)

 マンション開発による新住人の流入によって、京急川崎駅を除く大師線の1日平均乗降人員は2008(平成20)年の6万8526人から、2019年には23%増の

「8万4031人」

まで伸びている。

 とりわけ、この沿線にマンションを求めているのは、主に共働き家庭だ。夫婦の勤務先が東京都と神奈川県に分かれているケースは少なくない。そうした場合、住居は中間にある大田区、川崎市が定番になるが、そうした層に京急大師線沿線の需要があったのだ。

 京急大師線沿線の大変貌によって、2018年に廃止された川崎市の「川崎縦貫高速鉄道」計画も再浮上する可能性がある。同計画は2000年、運輸政策審議会答申に盛り込まれたこともある。小田急線新百合ヶ丘駅から東急田園都市線宮前平駅、東急東横線元住吉駅を経て、JR川崎駅まで22kmを市営地下鉄で結ぶものだ。

 さらに、この計画では京急大師線を地下化して小島新田駅から延伸し、羽田空港に直結することも検討されていた。しかし、川崎市の財政悪化などが原因となり、現在は正式に廃止になったとされている。

 ただ、今後の人口増を考えると、京急大師線を軸に新たな交通整備の検討も必要になる。川崎市は2022年度予算で、臨海部の交通機能強化に向けた調査検討を実施している。その結果が、新線建設のような大規模なものになるのか、あるいは最先端モビリティの活用になるのか。とにかく、このエリアの今後からは目が離せない。

全てのコメントを見る