ヘッドアップディスプレーはなぜ不人気なのか? 体験者「かっこいい」の評価も、ホンネは「意識散る」 今後は定着するのか

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欲しい情報が目の前に浮かび上がる見た目が人気のヘッドアップディスプレー。しかし、「意識が散るから逆に危ない」との声も。今後の行く末とは。

運転の安全性に直結する“情報の置き場”

運転する男性(画像:写真AC)
運転する男性(画像:写真AC)

 そんなHUDだが、各メーカーによって違いはあるものの、中にはルートを矢印で案内してくれる機種もある。では、何がドライバーの間で議論になっているか――それは、運転中に集中力が分散する点なのだ。

 利点のひとつである「情報へ短い視点移動でアクセスできる」というポイントは、裏を返せば

「イヤでも情報が目に飛び込む」

ともいえる。昼間でも問題なく視認可能な輝度で表示されるHUDの情報は、絵やぬいぐるみとは異なり、意味を持つ情報だ。状況によって常に更新されて動き続けるため、つい意識を割いてしまうこともある。

 クルマを運転したことがある人であれば、運転時の視界がどれほど大事かは容易にわかるだろう。クルマの構造上、発生する死角は多く、いつ飛び出してくるかわからない歩行者や自転車を警戒するためには大変な集中力を要するものだ。

 警察庁が発表した「原付以上運転者(第1当事者)の法令違反別交通事故件数の推移」(2019年次)によれば、脇見運転による事故発生率は全体の14.8%。これは全体の2番目に位置する割合で、意識が脇にそれたときの危険性を如実に表している数字といえる。

 安全運転を心がける多くのドライバーから、意識を散らされる要因をなるべく排除したいという意見が上がるのはあたりまえ。その意味で、HUDの情報サポートとうまく付き合えない人が少なからず出てくるのも仕方ないだろう。

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