「不手際のおわびにジュース代もらった」 SNSで話題の「タクシー美談」に現役ドライバーが感じたうすら寒い業界事情
先日、あるタクシー美談がツイッター上で話題になった。しかし、手放しで礼賛できない事情が、タクシー業界にはあった。
不信感の元凶は料金システムか

こうした振る舞いの裏には、双方ともに「過去に嫌な経験をした」という不信感があるからではないだろうか。一部の不誠実なドライバーのせいで、全てのドライバーに対して疑念を抱くようになった乗客。何かミスをすればクレームを入れられたり、SNSにアップされたりするのではと不安になるドライバー……負の循環である。
もちろん、そのような邪念を抱かず善意で行うドライバーもいれば、ドライバーに感謝の言葉をかけてチップを渡す乗客もいる。乗客もさまざま、ドライバーもさまざまだ。
最後に、タクシードライバーの筆者からひと言いわせてもらいたい。これらの元凶は、現代人のコミュニケーション感覚だけではなく、距離や時間によって運賃が変動する
「タクシーの料金システム」
そのものではないか。同じことを考えているドライバーは、決して少なくないだろう。このシステムのせいで、タクシーに不信感を抱き、使わない人が筆者の周辺にもいる。乗客・ドライバー双方に疑念を、腹の内を探り合うような心理戦を生むこんなシステムはタクシー業界だけだ。