航続時間はドローンの約3倍! ヤマハが手掛ける「無人ヘリ」計測サービスをご存じか

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ヤマハからバイク部門が独立してできたヤマハ発動機。2輪やマリン事業のイメージが強い同社だが、無人ヘリを使った計測サービスも行っている。

北の大地で失われつつあるアカエゾマツ天然林

ピアノの響板(画像:ヤマハ)
ピアノの響板(画像:ヤマハ)

 計測サービスの内容の前に、まずはピアノの構造の話をしなければならない。

 ピアノの内部には、響板(きょうばん)と呼ばれる重要な部位がある。鍵盤を押し、奥にあるハンマーが弦を打った際に、この部位が空気を振動させることで、大きな音が鳴る。響板は木でできているが、木材は高く耳障りな音を吸収し、低音だけを響かせる特性がある。つまり、この木製の響板のおかげで、ピアノは私たちが知るあの丸みを帯びた音が出せるのだ。

 各ピアノメーカーは、美しい音の響きを追求するために響板の木の種類にこだわっており、ヤマハでは北海道の天然林のアカエゾマツを高級楽器材と位置付けている。しかし、このアカエゾマツ天然林は木造住宅を中心に道内の資源が使われ続けたため、近年は響板に使える太さのものがほとんど消失してしまった。それゆえ、ピアノの上級モデルにのみわずかに残った天然林木を使用している状況だった。

 このままではいずれピアノが作れなくなってしまう――。現状を打破するために、ヤマハは行政と協力し、天然林ではなく人工林のアカエゾマツ材の響板への利用可能性を探り始めた。

 その結果、現段階では難しいものの、枝打ちなどの管理をしっかりと行えば、20~30年後には人工林のアカエゾマツ材も利用できる可能性が高いと結論づけた。

 ヤマハのピアノ作りにおいて光明が見えた結果だが、広大な北海道の地で、適切な管理が行われているか、ピアノ響板を取るのに必要な太さを有しているかを、数十年にわたって人力で調査して回ることは非常に困難だ。そこで注目されたのが、ヤマハ発動機の森林計測サービスだった。

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