トラックドライバーの事故が続発! ピンチの大手物流会社が「ヒヤリハット」を94%減できたワケ
AI導入により事故件数が3分の1に
前回の記事「運転中のドライバーを襲う『意識不明の事故』 プロドライバーさえ防げない悲劇、その根本原因とは何か?」(2022年10月2日配信)で紹介したとおり、交通事故の9割近くは、認知と判断の誤りによって発生する。
この「誤り」というのは、交通事故が起こったタイミングでたまたま誤ってしまったというケースもあるだろうが、大半はドライバー自身が普段から行っている悪癖に起因するケースが多いだろう。
例えば、交通事故発生時における違反件数2位の「脇見運転」(13%)による交通事故を起こしてしまったドライバーは、普段から注意力が散漫で脇見運転を行っている可能性が高い。
「DRIVE CHART」は、このような認知と判断に関係するドライバーの悪癖を指摘することで、正しい運転技術を身に付けることを促す。
その効果はすさまじい。
例えば、冷凍冷蔵輸送を生業とし、約40台のトラックを抱える運送会社 低温(奈良県)では、「DRIVE CHART」を導入後、事故発生件数を3分の1まで減少させ、保険料を約600万円削減することができたという。
心身不調で鈍る「認知」「判断」の制度
安全な運転を目指す上で厄介なのは、運転の3要素における「認知」「判断」の精度が、その時々によって変化することだ。
筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)の場合、疲れてくると無意識のうちに車間距離を長くする癖がある。無意識のうちに、心身の疲れを察知し、車間距離を調整するように習慣づいており、逆に車間距離を長くとっていることに気が付き、「ああ、疲れているんだな……」と思うこともある。
これは、トラックドライバーだった頃、先輩ドライバーから「帰り道、特に長距離輸送の帰路は、疲れて反応速度が遅くなっているから、いつもよりも車間距離を長く取れ」と口酸っぱく言われた名残だと思う。実際、これで交通事故を免れたこともある。