基本給わずか「7万円」 大手引っ越し元社員が語る悲惨な過去、過当競争のしわ寄せはいつも現場だ!

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引っ越し業大手で4tドライバーをしていた元社員へのインタビュー。辛らつすぎるその実態とは。

まさに「使い捨て」の世界

引っ越し業者のイメージ(画像:写真AC)
引っ越し業者のイメージ(画像:写真AC)

 それでも続けたのはなぜか。

「人生いろいろあって中途で入りましたが、年功序列も学歴も関係ない業界ですから、それはよかったと思います。年中辞めていきますから、現場に限れば新人もベテランも関係なくなります。でも限界が見えると、これから先どうしようって考えちゃいますよ。自信があるなら、独立したほうがいいと私は思いました」

 いまは独立してひとり社長の法人ドライバーとして稼いでいる。稼ぎは大手引っ越し業者の社員時代とそれほど変わらないが、精神的には解放されたと話す。

「クライアントが厳しいとか、理不尽な配達とか、引っ越し業界を経験したらなんてことはないですよ。本当にあの業界はやることが多すぎるし縛りもキツい。メンタルやりますからね。年齢的な問題もありますが、引っ越しだけは戻りたくないですね。上場企業の正社員なのにもったいないという人もいましたが、基本給を考えたら、名ばかり正社員ですよ」

 近年の企業による不当ともいえる基本給のあまりの安さ、引っ越し業界はもちろん、各業界で労働組合を中心に見直すべきという声が上がっている。基本給が安いと有給も消化できない。正規職員の基本給の割合が20%前後(報道では15%という会社も)では将来設計も築けない、まさしく使い捨てだ。

「上場企業」

でも平気でこのようなことをする。労働基準局も名ばかり、過当競争のしわ寄せは、常に一番重要で大事にすべきはずの現場に押し付ける。

 基本給の安さは引っ越し業界に限らず、筆者のもとにも多く寄せられる事案で、冒頭の7万円はまだまし、という悲しい話もある。基本給の安さは正社員でも解雇しやすいという会社側の目算も透けて見える。仕事量を減らせば歩合も残業代も減る、生活できなくなれば自分から辞めざるをえなくなる。

 本来の歩合や残業代の意味が成り立たないほどに安い基本給、ある程度の法整備がいまこそ必要ではないか。

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