基本給わずか「7万円」 大手引っ越し元社員が語る悲惨な過去、過当競争のしわ寄せはいつも現場だ!

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引っ越し業大手で4tドライバーをしていた元社員へのインタビュー。辛らつすぎるその実態とは。

インセンティブ付きで月給30万円

トラック(画像:写真AC)
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「私の基本給は7万円でしたが、これでも高いほうだと思います。引っ越し業界は本当に安いですから」

 引っ越し業大手で4tドライバーをしていた元社員の話は厳しいものだった。引っ越し業者の4tといえば一番稼げるとされる車格のはずだ。

「インセンティブ(歩合)はつきますが、その基準は明確ではありません。月給で30万円くらいでしょうか、私はもらっていたほうだと思いますよ。家族持ちで年齢を重ねて、成績が悪いとか、車格を上げられない場合は会社を去る人も多い。仕事量には見合いませんからね」

 完全実力主義ということか、基本給は安く、とにかく歩合を稼げる者が残る。しかし業界では高めとはいえ、それで30万円というのは満足できる額だったのか。

「満足できないから辞めたということです。よそは知りませんが、ボーナスだって年3回ですが少ないものです。年収500万円であの仕事量と労働環境、昇給も年1000円とかですね。それで上等なほうですよ。若いうちはいいかもしれませんが、社員として長く続く仕事じゃないですね。基本、使い捨てです」

 かつて歩合で人生を一発逆転、派手に稼ぐドライバーというのはいた。大手飲食チェーンを立ち上げた人物はそれを原資に起業した。時代というほかないが、いまや引っ越し業者に限らず、歩合や残業代でようやく普通の給料になるような会社が増えてしまったように思う。

 頑張った人、成果を上げた人ほどいい思いができるのではなく、

・頑張って成果を上げて人並みの暮らし
・賃金の上がらないままに30年もの年月を無駄に費やした日本

など、本当に変わってしまったということだ。

「おかしいですよね、歩合でガンガン稼いで人よりいい思いをしたり、夢をかなえたりするものだと思っていたのに、歩合でガンガン稼いでやっと人並みの暮らしなんですから。それに、引っ越しは季節によって変動が大きいですし、正社員なのに生活が安定しない、なんて話にもなります」

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