基本給わずか「7万円」 大手引っ越し元社員が語る悲惨な過去、過当競争のしわ寄せはいつも現場だ!

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引っ越し業大手で4tドライバーをしていた元社員へのインタビュー。辛らつすぎるその実態とは。

昇進したら給料が下がることも

引っ越しのイメージ(画像:写真AC)
引っ越しのイメージ(画像:写真AC)

 基本給が安いということは、歩合が稼げなければ月の手取りが下がるということだ。社員なのに不安定、それが引っ越し業界ということか。

「不安定ですね。歩合も仕事の単価によりますから。支社の大きさと立地、営業が取ってきた仕事の金額次第です。現場を回るにも限界がありますし、長距離で安い仕事なら近場で2件、3件こなせたほうがいいわけです。ただそれだと午前便をすんなり終えて午後便、さらに終わっていない他の現場の応援とかですから、体が健康で若いうちしか無理でしょうね」

 筆者(日野百草、ノンフィクション作家)の聞いた話では、別の引っ越し業者だが終了後、客が使い終えた各所のダンボール引き上げもしたという。いや、本当に大変な仕事だ。

「歩合が命ですから、班長になると給料が下がることもあります。主任になんか絶対なりたくないですよ。他人の面倒を見るようになると給料が下がるんですから、面白いでしょう。高級車を乗り回す幹部クラスなら別ですが」

 半ば自嘲気味に話してくれた。これで業界大手とは。最低賃金法には抵触していないが、労働者も年を取るし健康だっていつ何がわるかわからない。これでは安心して働けない、彼はまだ稼げているほうで、歩合や残業代でやっと最低限の生活、という状態の人もいると話す。本当に使い捨てだ。

「私もそれに気づいて辞めた口です。幸い4tは長く乗っていましたし、大型免許も取得していましたから。運送業はどこも大変ですが、引っ越しが一番大変かなあと、自分の独りよがりかもしれませんが思います。とにかくクレームもすごいですし、毎日いろいろな人の財産を運ぶわけですから。建物や家具に傷をつけないとか、毎日運転とは別に気を使わなければなりません。個人のお客もさまざまで、うちは激安も売りですから正直、困ったなというお客も多かった」

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