「EV = 日本で普及しない」といまだに言い続ける人たちへ あなたたちは基幹産業を弱体化させるつもりなのか? データで徹底証明する

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世界がEVを推し進めるなか、日本国内のメディアなどは「EVは製造で大量の二酸化炭素を排出する」といまだに主張している。これは本当なのだろうか。

電池原材料の95%程度はリサイクル可能

EVの充電(画像:写真AC)
EVの充電(画像:写真AC)

 次に車両を使用する立場として、大量に保有する物流やレンタカー、ライドシェアなどの事業者も具体的な移行の目標を発表している。例えば、米レンタカー大手のHertzは2024年までに保有する車両の25%を電動化し、充電大手のBPと協力して2022年までに3000か所の充電設備を整備する。ライドシェア大手のUberはロンドンなど一部地域で2025年、全世界でも2030年に100% BEVへの移行を発表している。

 もちろん自動車は寿命を迎えれば廃棄されることになるが、電池は貴重な資源としてリサイクルされる。代表的な電池リサイクル事業者としては元テスラ幹部が創業した米Redwood Materials、そして欧州のHydrovoltなどが挙げられる。多くの事業者は

「原材料の95%程度をリサイクル可能」

で、鉱山からの採掘と比べても十分な品質とコスト競争力があるとしている。米ネバダ州でパナソニックと共同で電池を製造するテスラは、すでにRedwood Materialsから購入したリサイクル原料を使用しているという。

 最後に途上国での取り組みも見てみよう。例えば、現在日本車が市場を握る東南アジアでも、インド自動車大手のタタがEVの生産に乗り出す。同国の2021年のEV販売数は約1.5万台と前年から3倍に増え、先導するタタは2022年9月に普及価格帯となる1万ドル(約140万円)の格安EVを発表し、話題になった。

 一方で、電力網が十分に発達していないアフリカなどでは普及しないという声もあるが、南アフリカのAutotrader Car Industry Reportによると、電力の供給が安定しない同国においても、EVの検索数が前年から2倍に増加している。さらに同国ではuYiloと呼ばれるEV促進プログラムが進められており、EVの大きな電池に蓄えた電気を取り出して使うV2G(Vehicle to Grid:車両から電力網への供給)やV2X(Vehicle to Everything:車両から任意への供給)を使い、電力を安定化させる取り組みも実施されている。加えて、途上国に限らず産油国ではない国においては、EVへの移行による産油国への依存や貿易赤字の解消も、重要な目的のひとつとなっている。

 これまでは海外でもEVの弱点を並べ、

「EVが使えない言い訳を懸命に探す層」

が一定数存在していたが、ここ数年で状況は一変している。自動車産業は日本の基幹産業であり、海外市場向けの販売が約8割占めるなか、このような流れを無視することは基幹産業の弱体化を招きかねないことを、筆者は危惧してやまない。

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