作業はいつも命がけ!「荷さばき」トラックの過酷な労働環境と監視の目、荷主は配送員に路駐リスクを押し付けるな

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都心の繁華街などで日常的に見かけるトラックの荷さばき、荷降ろし場のない商店に納品する配送員の姿、この光景は、駐車違反のリスクを配送員に背負わせる理不尽な行為だ。

ひどいのはタワマンだけじゃない

キャリアカー(画像:写真AC)
キャリアカー(画像:写真AC)

 その通りだろう。もちろん十分な荷さばき場を用意しているどころか、物流拠点並みの施設を併設しているタワマンもある。しかし、一部のタワマンは入居者のための最低限の駐車場だけで荷さばき場を用意していない。「路上でどうぞ」を平気でしている。これは先のチェーン店と同様だろう。

「タワマンだけじゃありません。むしろ一般企業のビルや営業所のほうがひどいところが多いです。環七とか青山通りで荷さばき場もなくて「路上に下ろせ」ですからね」

 もはや命がけ。その「路上に下ろせ」については、単なる荷さばきの枠に収まらないレベルの話も別のベテランドライバーから聞くことができた。

「荷さばきどころか、私なんてキャリアカーで車を何台も入れ替えてましたよ。幹線道路を1車線、完全にふさいでね」

 キャリアカーとは自動車を運ぶトラックやトレーラーのことである。彼は一時期、いわゆる2階建てのキャリアカーで自動車を運んでいた。

「ディーラーの敷地にスペースがないから公道に下ろすしかありませんでした。いまは減ったのでしょうか、ひと昔前は当たり前でしたね」

 減ったかどうかはわからないが、最近も筆者は甲州街道のディーラーでその光景を見ているので、まだやっているところはあるのだろう。非常に危険な行為である。

「危ない行為ですよ。歩道に逃げられる自転車はともかく、原付なんかだと、あれを追い越すのは怖いでしょう。渋滞の元にもなります。見通しが悪くてぶつかることもあるでしょう。でも荷主の要望ですから、仕方がないのです。理不尽な話ですが、昭和のころから変わってませんよ」

 いずれも厳密には道路交通法違反だが、本稿はそれを違反だとあげつらう目的はない。むしろそのリスクを配送員に負わせ、公道にフリーライドする荷主やゆがんだ社会システムを問題にしている。これは拙筆『「好きで路駐してるわけじゃない」 荷待ちトラックを襲う住民クレームの嵐、敵は荷主か? 運送会社か? それとも国か?』(2022年9月11日配信)と同様の問題である。

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