非エンジニアの個人事業主が40歳を目前に「AI運転支援システム」の開発に目覚めたワケ

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モビリティ分野のスタートアップ企業トップにインタビューするシリーズ企画。第4回目は、AIドライバーアシスタントの開発や交通データの収集と解析を手掛けるPyreneeの三野龍太代表取締役CEO。

「移動の自由」へのこだわり

 三野氏には気になっていることがある。高齢者の免許返納問題だ。高齢者が運転する自動車の事故は、センセーショナルに報道されることが多く、返納への圧力が強くなっているのを感じている。

 免許返納を求める人たちは、運転する人のことや交通安全を願っており悪気はない。しかし、地方に住む高齢者にとって自動車のない生活は不便だ。

「移動の自由はとても大切なものです」

 返納して自治体のバスチケットを与えられても、そもそもバスの本数が少なく、さほど役に立たないことも多い。外に出られなくなり、人に会わなくなったことで認知症を発症するケースもある。

「40歳でも危ない運転の人もいれば、80歳でも安全運転ができる人もめずらしくありません。年齢ではなく個人差があるので、運転の能力や状態内容をしっかり見て判断してあげてほしいです」

 車の運転が必要な人にとって、免許返納は人生の自由の返納にもなりかねないと三野氏は考える。それは簡単に解決できる問題ではないのだ。そのためにも、高齢者が少しでも安全に運転できるよう、Pyrenee Driveを普及させていかねばならない。

 Pyreneeの社名とロゴマークは、フランスのピレニー山脈にいる、羊飼いの家族や羊たちをオオカミや熊から守る強くて優しい犬、ピレニー犬に由来している。ピレニー犬のように、あらゆる場面で遭遇する危険から人を守るプロダクトを作り、いままさにローンチがせまっている。

恩人に報いるためにも

 Pyrenee Drive発売後の展開については現在検討中だが、量販店の店先でたくさんの商品とともに横並びに展示され、価格訴求で消費者に購入を促すのではなく、しっかりとした世界観を作った場所で、機能や特徴をじっくり見せる方針だ。

 提供価格はサブスクリプション形式で月額5000円から1万円になる予定で、将来的にはよりリーズナブルな価格を想定している。

 そんなPyreneeとPyrenee Driveだが、三野氏にはひとつ残念なことがある。2022年6月に他界した、元ソニー株式会社社長の出井伸之のことだ。出井は初期に製品の将来性を買い、出資し株主になってくれた大恩人だ。だからこそ、発売後、たくさんの人に使われているところを見てほしかったと三野は悔しがる。しかし、遠くから出井が見ていると信じている。

 Pyrenee Driveの発売後の動向は未知数であり、交通事故がどのくらい減らせるのかも、実用段階での数字は出ていない。しかし、三野氏や水野氏をはじめとするメンバーの「事故を減らそう」という思いが詰まっているため、大きな成果を出すかもしれない。また、Pyreneeは事業を拡大すべく、エンジニアをはじめとしたメンバーを増やしたいと考えている。

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