「海のJRになりたい」 秋葉原の元パソコン少年が水上モビリティのスタートアップを立ち上げたワケ

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モビリティ分野のスタートアップ企業トップにインタビューするシリーズ企画。第2回目は、水上モビリティをロボティクスとAIで自律化することを目指す「エイトノット」の木村裕人代表取締役。

国内でもユニークな水上モビリティスタートアップ

(左2番目から)、エイトノットの堂谷香菜子氏、木村裕人代表取締役CEO、横山智彰代表取締役CTO(画像:エイトノット)
(左2番目から)、エイトノットの堂谷香菜子氏、木村裕人代表取締役CEO、横山智彰代表取締役CTO(画像:エイトノット)

 起業が当たり前になりつつある現代、急成長を図るスタートアップ企業に再びフォーカスが当てられている。経済産業省は2022年6月、「METI Startup Policies ~経済産業省スタートアップ支援策一覧~」を取りまとめ、徹底支援に取り組んでいく姿勢を明確にした。

 さまざまな業界でスタートアップ企業の動向が注目されるなか、モビリティ分野でも数々の企業が活躍し始めている。本連載では、モビリティに主軸を置くスタートアップの成長ストーリーを、業界の動向とともにお伝えする。

 第2回は、あらゆる水上モビリティをロボティクスとAIで自律化することを目指すエイトノット(大阪府堺市)の木村裕人代表取締役に話を聞いた。

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 エイトノットは2021年3月8日に設立されたばかりの新しい企業だ。モビリティ業界では新技術の開発が次々に行われ、一大変革期を迎えているが、多くが自動車の自動運転やドローンなど航空に関するもの。だが、船舶を始めとした水上モビリティもまた新たな局面を迎えつつある。

 水上モビリティも、自律化が進めば安全性や利便性、さらには経済合理性の向上を図ることができる。考えてみれば日本は島国で、周りを海に囲まれているため、この国では、水上交通に大きな可能性があることがわかる。

 水上交通を、旅客・物流の既存産業へ新たな移動・輸送手段として提案することが、エイトノットの目指すところだ。観光・レジャーにおける水上体験の提供や、新たな産業の創出ももくろんでいる。また、ロボティクスや人工知能(AI)など先端技術を活用し「水上モビリティのロボット化」をコンセプトとし、環境に配慮したEVロボティックボートによる自律航行水上オンデマンド交通を企図する。

 エイトノットは広島県が中心となって運営を行うアクセラレーション・プログラム、ひろしまサンドボックス「D-EGGS PROJECT」の最終起案30に採択され、2021年秋に広島県の離島・大崎上島町において実証実験を行った。この実証実験ではEVロボティックボートを用いた自律航行水上オンデマンド交通の実現を目指した。

「水上のモビリティに特化した企業はまだ日本には類を見ません」

と共同創業者のひとりで代表取締役CEOの木村裕人は言う。それでもこの事業にはソーシャルインパクトがあり、社会的に役立つ技術、インフラになりうる可能性があると考えている。