ダイムラーや三菱ふそう、地球温暖化への戦略は? 物流に革命を起こすゼロエミッションへの道のり

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世界の進化はITやデジタルの分野だけに着目すれば良いというわけではない。経済の血脈と言って過言ではない物流や輸送の分野が滞りなく機能することは、我々にとってとても重要なことだ。そこには「環境」というキーワードを忘れてはならない。今この分野に革命が起ころうとしている。

背景にパリ協定、技術力アピールの好機

ダイムラー・トラック社代表のマーティン・ダウム氏(画像:吉澤憲治)
ダイムラー・トラック社代表のマーティン・ダウム氏(画像:吉澤憲治)

 背景には2017年のパリ協定の存在がある。

 特に同じEUに加盟しフランスの隣国でもあるドイツは、欧州諸国の中でも積極的かつ自動車大国としての立場から、温室効果ガス排出量低減へ向けたリーダーシップを示すことを求められている。

 以前から環境に対しては厳格な姿勢をとってきたドイツにとっては、同国におけるさらなる環境改善に向けた活動、および自国産業の高い技術力をアピールする格好のチャンスとなる。

 温室効果ガス排出の最たる例として、自動車、特にトラックやバスは改善の標的だ。世界はこれまで、大量に物を運ぶための強大なパワーは安価なガゾリンとディーゼルに頼ってきた。しかし地球温暖化の影響は我々の予想を遥かに超えるスピードでダメージを与えて来ているという背景がある。

 そこでいよいよトラックやバスも、CO2を出さないEV、FCV(水素)などの次世代エネルギー車両の開発に本腰を入れる時が来たというわけだ。

 パリ協定は、長期で目標へ向けて取り組むことを重要としており、その達成度合いについては、2023年から5年ごとに報告を義務付けた。

 そこでまずは2030年をターニングポイントとし、ダイムラー・トラックの場合は車両販売全体の60%を電動化で占めるよう目標を掲げている。そして2039年にはいよいよ0(ゼロ・エミッション)を目指すというストーリーが控えているというわけだ。

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