超巨大で燃費悪 もはやオワコン扱いだった「エアバスA380」がなぜか復権したワケ

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鳴り物入りで登場したにもかかわらず、航空業界の中で「オワコン」化していたA380。そんな同機はなぜ復活したのか。

ボーイングのB777-9の納入遅れ

ボーイングのウェブサイト(画像:ボーイング)
ボーイングのウェブサイト(画像:ボーイング)

 ルフトハンザ航空は、エミレーツ航空とともにワイドボディー機であるボーイングのB777-9のローンチカスタマーとなり、2023年に初号機を受け取る予定だった。

 ローンチカスタマーとは、新型航空機の開発・製造を後押しすべく、相当数の機体を購入する顧客だ。ここにきて、

「認証要件を満たすために必要な期間を見積もった結果、納入は2025年の予定になる」

と、ボーイングが4月下旬に発表したのだ。

 B777-9は、座席数400席以上を誇る長距離旅客機だ。ルフトハンザ航空は、B747から燃料効率の良い大型ジェット旅客機B777-9への置き換えを計画し、同機の最初の顧客として購入を決定していた。2021年とも言われていた初号機納入予定が、繰り返し延期され、ついには2025年になったのだ。

 B777-9の納入が2023年に延期されたときは、飛行制御プログラムなどの安全上の問題に関する連邦航空局(FAA)の要求への対応を理由に挙げていた。

納入遅れに対応するルフトハンザ航空

ルフトハンザ航空のウェブサイト(画像:ルフトハンザ航空)
ルフトハンザ航空のウェブサイト(画像:ルフトハンザ航空)

 ルフトハンザ航空は、B777-9の納入遅れに対応すべく、A380の復活と他のボーイングの機体購入を余儀なくされたのだ。

 元々所有したA380の14機のうち、既に6機は売却済みであり、残りの8機のうち4~5機を復活させ、2023年夏から運用する。航空需要次第ではさらなる復活もあるのではないかとささやかれているものの、ネックはエミレーツ航空と同様にパイロットの確保だ。現時点において、A380のパイロットを14人しか確保できておらず、これから一部のA350のパイロットに、A380を操縦する資格を取得させる。

 また、ルフトハンザ航空は5月上旬、7機のB787-9、3機のB777F(現行機)、7機のB777-8F(開発中)、および既に運用に入っているB777F2機のリース期間延長を発表した。この7機のB787-9で、B777-9の納入遅れで生じる供給不足を埋める。2025年から他の航空会社向けの機体を受け取るとともに、場合によっては、既に発注済みのB787-9の納入前倒しもある。

 2019年の乗客数を上回る勢いの航空需要の回復は、明るい兆しであるものの、航空機購入計画の見直し、燃料効率の悪いA380の運用再開と乗務員確保など、ルフトハンザ航空の頭痛の種は尽きない。

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