西九州新幹線 低成長時代の「部分開業」は賢明か? 不便な2度乗り換え、未着工区間に佐賀県知事「ぴんとこない」の現実

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西九州新幹線が9月23日、開業する。沿線では、新幹線開業を当て込んだ再開発や企業の誘致も活発になっているが、盛り上がりは伸び悩んでいる。なぜか。

新幹線ルートから外された佐世保市の怒り

佐世保駅の位置(画像:(C)Google)
佐世保駅の位置(画像:(C)Google)

 開通で沸く長崎県だが、それも残念ながらほぼ長崎市だけだ。同じ県内でも佐世保市は不満を募らせている。なぜなら、当初は新幹線ルートになることが予定されながら、約束をほごにされた経緯があるため、その怒りは大きい。8月には、JR九州が新幹線開通後のダイヤを一部見直したことも話題となった。

 新幹線ルートから外れる佐世保には、博多駅からの在来線特急が維持される。長崎県では路線の武雄温泉~佐世保間に約14億円を投入し、現行車両よりも高速の振り子型車両の導入を進めた。

 新車両の導入で時短が期待されたものの、6月にJR九州が発表した新ダイヤは運行時間短縮ではなく

「約2分増加」

だった。

 長崎県と佐世保市では見直しを求める声があがり、JR九州はダイヤを修正した。結果、今度は上下32本のうち5本で、運行時間が1分短縮することになった。実質、現状維持のままだ。

 新幹線開通で沸く長崎市に対して、佐世保市では新幹線の恩恵は皆無と言える。JR九州は新幹線開通に併せて、ICカード乗車券の利用可能エリア拡大を発表しているが、この程度では恩恵とは言い難い。

 JR九州は開通に向けた宣伝のなかで、朝の通勤通学時間帯に新大村(長崎県大村市)発の新幹線を設定し、通勤通学の利便性が高まることもPRしている。ここからも、先の見通しの立たない部分開業の苦難がうかがえる。

 新幹線による高速化は目を見張るが、博多~長崎間は

「高速バスで最大2時間30分」

だ。料金は2900円と、新幹線の6050円の半分以下。

 不満だらけの中での開業で、新幹線は存在価値を見いだせるのか。低成長時代に誕生した新幹線の地域インパクトに注目したい。

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