西九州新幹線 低成長時代の「部分開業」は賢明か? 不便な2度乗り換え、未着工区間に佐賀県知事「ぴんとこない」の現実
佐賀県が着工に同意しない理由

佐賀県が着工に同意しない理由――。それは、
・並行在来線の負担を県が背負う
・特急列車の減便が予測される(県全体ではデメリットが大きい)
ためだ。
もともと西九州新幹線は、新幹線開業後の並行在来線の扱いと地元負担をめぐって、長期にわたって着工されなかった。それが2008(平成20)年になり、JR九州が並行在来線を上下分離で維持し、経営分離を行わない方針を示したことで、武雄温泉以西のみようやく着工した。
この際、武雄温泉~新鳥栖間に関しては、軌間を変えて在来線・新幹線の両方を走行できるフリーゲージトレインを使用する方針が示された。博多駅からは、フリーゲージトレインを使って、「九州新幹線 → 在来線 → 西九州新幹線」を直通する構想だ。フリーゲージトレインの採用が具体的に示されたことで、西九州新幹線は武雄温泉~長崎間の開業とともに全通するかと思われた。
ところが、ここで問題が起こった。
2014年に公開された、営業用車両を前提にした第3次試験車は耐久走行試験で、高速走行時に車軸に摩耗が生じる問題が発生した。問題の解決が図られたものの、車両費用がかさむことが決定的となった。
また、将来的には山陽新幹線との直通も想定されていたが、最高速度が時速270kmにとどまり、時速300km走行を行う山陽新幹線には乗り入れできない問題も浮上。未完成の車体では安全性も確立できないと判断したJR九州は2017年に導入を断念した。
国も2018年に、新幹線を前提としたフリーゲージトレインの開発を断念したことで、当初の整備計画は破綻した。以降、国や長崎県ではフル規格での建設を念頭に整備を求めているが、佐賀県はまったく応じていない。
8月22日の記者会見で、山口知事は改めてフリーゲージトレインの開発が前提だったことを主張し、武雄温泉~新鳥栖間が「未着工区間」とされることにも
「ぴんとこない」
と発言している。
そもそもルートすら決定していないのだから、「未着工区間」という言葉は正確ではない。博多~長崎間をどう接続するのか。将来的に新大阪~長崎間の直通新幹線は可能になるのか。完成に向けた青写真はひとつもないのだ。