西九州新幹線 低成長時代の「部分開業」は賢明か? 不便な2度乗り換え、未着工区間に佐賀県知事「ぴんとこない」の現実

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西九州新幹線が9月23日、開業する。沿線では、新幹線開業を当て込んだ再開発や企業の誘致も活発になっているが、盛り上がりは伸び悩んでいる。なぜか。

佐賀県が着工に同意しない理由

新鳥栖駅の位置(画像:(C)Google)
新鳥栖駅の位置(画像:(C)Google)

 佐賀県が着工に同意しない理由――。それは、

・並行在来線の負担を県が背負う
・特急列車の減便が予測される(県全体ではデメリットが大きい)

ためだ。

 もともと西九州新幹線は、新幹線開業後の並行在来線の扱いと地元負担をめぐって、長期にわたって着工されなかった。それが2008(平成20)年になり、JR九州が並行在来線を上下分離で維持し、経営分離を行わない方針を示したことで、武雄温泉以西のみようやく着工した。

 この際、武雄温泉~新鳥栖間に関しては、軌間を変えて在来線・新幹線の両方を走行できるフリーゲージトレインを使用する方針が示された。博多駅からは、フリーゲージトレインを使って、「九州新幹線 → 在来線 → 西九州新幹線」を直通する構想だ。フリーゲージトレインの採用が具体的に示されたことで、西九州新幹線は武雄温泉~長崎間の開業とともに全通するかと思われた。

 ところが、ここで問題が起こった。

 2014年に公開された、営業用車両を前提にした第3次試験車は耐久走行試験で、高速走行時に車軸に摩耗が生じる問題が発生した。問題の解決が図られたものの、車両費用がかさむことが決定的となった。

 また、将来的には山陽新幹線との直通も想定されていたが、最高速度が時速270kmにとどまり、時速300km走行を行う山陽新幹線には乗り入れできない問題も浮上。未完成の車体では安全性も確立できないと判断したJR九州は2017年に導入を断念した。

 国も2018年に、新幹線を前提としたフリーゲージトレインの開発を断念したことで、当初の整備計画は破綻した。以降、国や長崎県ではフル規格での建設を念頭に整備を求めているが、佐賀県はまったく応じていない。

 8月22日の記者会見で、山口知事は改めてフリーゲージトレインの開発が前提だったことを主張し、武雄温泉~新鳥栖間が「未着工区間」とされることにも

「ぴんとこない」

と発言している。

 そもそもルートすら決定していないのだから、「未着工区間」という言葉は正確ではない。博多~長崎間をどう接続するのか。将来的に新大阪~長崎間の直通新幹線は可能になるのか。完成に向けた青写真はひとつもないのだ。

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