コロナ禍で救急車「出動率97%」の現実 「電話つながらない」の声多数、今こそ不適切な救急要請を止めるべきだ
コロナ禍の影響で、119番につながりづらい事象が多発している。そんななか、私たちが考えるべきことは何か。
なかには「不適切」な救急要請も

また総務省消防庁も「緊急度について知識を深めましょう!」というパンフレットを作製している。その中でも少し古い過去事例だが同様に「不適切」な救急要請事例を挙げている。
・鼻をかんだらタオルに血がついたため救急要請(56歳女性)
・新聞紙で指を5mm切ったため救急要請(34歳女性)
・筋肉痛と塗り薬によるかぶれで救急要請(40代男性)
100%近い稼働率の中で傷病者のために走る救急隊員、その傷病者を受け入れる医療スタッフを思うとやるせない気持ちになるが、世界の大半が救急業務を有料化している現状、こういった人たちがいると、再び日本の救急業務有料化という話が持ち上がらないとも限らない。結果的に軽症だったは仕方がないが、こういったあからさまな不適切要請は本当にやめてほしい。
救急車を呼ぶべきかで迷った場合は♯7119(救急安心センター事業)にまず掛けてほしい。15歳以下の子どもの場合は♯8000(子ども医療電話相談事業)となる。
新規感染者が1日あたり過去最多の25万4534人、救急搬送困難事案493%増、東京都管内出動率97%という非常事態のなか、自分の命を守るためにも救急業務に対して日ごろから協力姿勢を国民全体で示すことが大事と考える。
救急車の不適正利用はもちろん、救急車が来ても道を譲らないなどの行為も繰り返されている。2021年末、緊急走行中の救急車に対して2kmに渡りあおり運転による妨害行為をした静岡市の男など論外だろう。
次の救急搬送困難事案となるのは、自分かもしれない、その現実に起こりうる事態に対しての想像力もまた、結局のところ自身の命を救うこととなる。