コロナ禍で救急車「出動率97%」の現実 「電話つながらない」の声多数、今こそ不適切な救急要請を止めるべきだ

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コロナ禍の影響で、119番につながりづらい事象が多発している。そんななか、私たちが考えるべきことは何か。

救急車「出動率97%」

街中を走る救急車(画像:写真AC)
街中を走る救急車(画像:写真AC)

 いま、救急車が来ない。来たとしても、救急搬送困難事案となる可能性が高い。救急隊は休む暇もなく走り続けているにも関わらず、だ。

 8月18日、ついに新型コロナウイルスの新規感染者が1日あたり過去最多、25万4534人となった。それとともに問題化しているのが、

・119番につながりづらい
・救急車がなかなか来ない

という問題だ。あまりの救急需要の増加に現場到着時間はもちろん病院収容時間も長くなっている。

 東京消防庁は8月16日、「救急出動増加中!」としてTwitterで都民にこう呼びかけた。

「救急車の出動率が97%を超えているため、現在非常編成した救急車30台を含む305台で運用していますが、通報を受けてから救急車の到着までに時間を要する場合があります」

 出動率97%は尋常ではない。直近でも東京都管内の出動率は90%の高どまり、コロナ疑い事案はもちろん、夏場とあって熱中症などの非コロナ疑い事案も増えていることが要因にある。

 総務省消防庁による「各消防本部からの救急搬送困難事案に係る状況調査」によれば、8月8日から8月14日までの搬送困難事案は全国で6747件、うちコロナ疑い事案は2836件だ。つまり約42%の搬送困難事案は発熱や呼吸困難など、コロナの疑いのある傷病者ということになる(保健所等からの受け入れ照会は除く)。

 ちなみに、コロナ禍以前の2019年の同期と比較すると493%増(!)。新型コロナウイルスの流行によるわざわいをまざまざと見せつけられた格好だが、これでは、いくら救急隊や救急車両が100%近い稼働をしたとしても十分に間に合うはずもない。

 この出動のなかで「医療機関への搬送ができなかった事案はない」とのことだが、東京消防庁によれば8月10日、搬送先が決まらず救急搬送に

「35時間47分」

を要したケースがあったという。医療機関の受け入れ体制も限界なのだ。

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