鉄道運賃への導入で話題 価格「変動制」がもたらす知られざる社会の歪み
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- トラック, 鉄道, タクシー, ダイナミックプライシング
需要の高さに応じて料金を変動させるダイナミックプライシングが現在、話題になっている。事業者側は収益を最大化できるが、反面、利用者にはデメリットもある。
ETC割引の弊害

また、高速道路の自動料金収受システム(ETC)割引も問題を提起している。夜中0時を過ぎると大幅な深夜割引(例えば3割引き)が適用されるため、その時間を待って料金所の周辺に路上待機するトラック車両が増え、それが衝突事故を引き起こす原因ともなっている。
トラック業界は、2002(平成14)年の規制緩和によって過当競争の状況になっている。そのため、少しでもコストを減らすための涙ぐましい取り組みのひとつとしてこうした行動がとられているのだ。したがって、ETC割引が悪いというよりも
「規制緩和の是非を問うこと」
が妥当かもしれないが、実際に問題が発生していることは認識し、対応を考えなければならない。
ETC割引は、まさにETCという技術革新がもたらしたものだ。かつてのように人が料金収受を行っていた時代ではなかなか対応できなかっただろう。
ETC割引に限らず、ダイナミックプライシングは技術革新によって可能となった。このことは航空の場合にも言えるだろう。航空の場合は現在、人工知能(AI)によって在庫管理が行われ、それにしたがった料金体系の決定がなされているのだ。ダイナミックプライシングは現代技術の象徴とも言える。
しかし、その技術をどのように生かすかは人間の制度設計次第だ。鉄道の場合もそうだ。ロードプライシングを導入するのであれば、それが本当に社会をよりよい方向に向かうよう、それと関わる社会制度全体の見直しを同時に強力に推進していかなければならない。さもなければ、また社会的弱者だけが負担を強いられることになってしまうだろう。