乗り継ぎ時の「初乗り運賃」は損! と感じる人に教えたい、海外で広がる「ゾーン運賃」とは

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鉄道会社をまたぐ乗り換えのたびに、初乗り料金を支払う日本の運賃体系。何となく損した気分になる人もいるのではないだろうか。一方、海外で採用されている「ゾーン運賃」は全く異なる料金体系となっている。

自治体と契約、公的資金で運行維持

鉄道やトラム、地下鉄などゾーン内の交通網の全てを1枚のチケット利用可能なベルリン(画像:橋爪智之)
鉄道やトラム、地下鉄などゾーン内の交通網の全てを1枚のチケット利用可能なベルリン(画像:橋爪智之)

 PSO(public service obligation)とは、地方自治体などからの公的資金によってサービスを提供する義務を負うもので、実際に交通機関を運行する企業と契約を結ぶことで乗客の有無に関わらず運行が維持され、運行する企業は固定された金額を自治体から得られるというものである。

 それと同時に、海外の場合はセルフ改札を採用している点も大きい。

 日本では、バスやトラムは運転士が運賃収受を行うため、大幅な時間のロスになるし、ましてやゾーン運賃を導入すれば、「どこからどこまでが〇ゾーンで……」ということを乗車時にやり取りしなければならなくなるので、とても現実的とは言いがたい。

 乗客が自分でゾーンを調べ、チケットを買って自ら刻印して乗車するという「セルフ改札」というやり方があって、初めてこのゾーン運賃は成り立つと言っても過言ではないだろう。

 ゾーン運賃のメリットばかりを紹介したが、もちろんデメリットもある。

 まず距離制のような細かい運賃設定をしているわけではなく、地域ごとに大まかに運賃が設定されているため、しっかり運賃収入を得るために初乗り運賃が意外と高価である点だ。

 中には都市の拡大によってゾーン地域が広がったことで、有効時間を延ばした代わりに運賃も値上げした都市もある。

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