自民提出案「スーパーはくと」問題だけじゃない! 鳥取県の鉄道利用「奨励金」は本当に効果があるのか
鳥取県で交通施策を巡る論議が湧いている。問題はどこにあるのか。
「スーパーはくと」を巡る疑問
筆者(大居候、フリーライター)は以前、Merkmalで「鳥取県知事が難色 特急「1時間に1本」自民県連政調会の提出案は一体どこが問題なのか?」(2022年6月22日配信)という記事を書いて、多くの反響を得た。記事には
「姫路乗り換えは本末転倒」
「バス転換が現実的では」
などのコメントが並んだ。
今回のために、記事の内容を改めて説明する。自民党鳥取県連政務調査会が先日、鳥取県内の鉄道利便性向上に向けた調査結果をまとめた。倉吉、鳥取~京都間の「スーパーはくと」を姫路折り返しに変更、途中の相生で新幹線と接続させて便数を増やし、京阪神への所要時間を30分~1時間短縮する大規模なダイヤの改変が提案された。
調査結果では、JR西日本に負担をかけない形で利便性が向上するとしている。しかし、記事では智頭急行の収益が成り立たなくなる点などに触れ、自民党県連提案の問題点を指摘した。
さて、鳥取県の問題はこれだけではない。
「赤字路線の利用者をどうやって増やすか」
がまず前提にある。赤字ローカル線の存続は、全国各地で危惧されている。少子高齢化が続くなか、乗客を劇的に増加させる方法は簡単に見つからない。
2021年度の決算で6年ぶりに黒字になり話題になった銚子(ちょうし)電鉄は、ぬれ煎餅などの副業がメインの収益だ。また、紀州鉄道のように鉄道が「副業」として維持されているところもある。ただ、こうしたものは例外にすぎない。