まるでショッピングモール! 全国各地の「物流施設」が近年、大変身を遂げている理由

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近年、物流施設の開発が活発化している。箱型の簡素な建築物に暗い外溝といった、旧来のイメージも払しょくされつつある。

従来の物流施設に欠けていたイメージ

郊外のショッピングモールのイメージ(画像:写真AC)
郊外のショッピングモールのイメージ(画像:写真AC)

 その一方、地域住民や自治体は、住宅地に近接する立地や利便性のよい立地に物流施設が開発されることに対しての抵抗感も少なくない。商業施設のオープンならば、

・明るく清潔感のある外観
・多くの人が集まるにぎわい
・新しい店舗でのショッピングやレジャー、食事

といった良好なイメージを感じる地域住民は多い。これが物流施設となると、箱型の簡素な建築物に暗い外溝、行き交う大型トラックというイメージがあり、むしろ安全面や防犯面はどうなのか? と不安になる。自治体においても雇用・経済効果は期待できるものの、本来ならばもっと地域の基本計画に沿った地域住民に資する土地活用を期待したいところだ。

 つまり、

・住民サービスへの貢献
・人でにぎわう空間の創出
・緑の多い良好な環境の創出
・広域からの集客
・イメージのよいエリアブランディング

への寄与などだ。従来の物流施設のイメージにはない要素ばかりであり、そのため、なかなか自治体から開発認可が下りない案件も見られる。

 開発を促進するためにも、今までのイメージを払しょくするような施設が次々に生まれてきている。マルチテナント型物流施設ではさまざまな機能を付加して差別化する傾向が見られ、テナントの授業員への付加価値としてコンビニ、飲食施設、託児所などが付帯されている。一般の人が利用できる場合もあり、地域住民へのサービスにも貢献していると言えるだろう。

 また、今までは業務機能だけが重視されて街の一部としての景観への意識はなかったが、かつての物流施設とは一線を画すスタイリッシュなデザインの施設も開発されている。改めて見ると、郊外のショッピングセンターもただの白い箱であったりして、物流施設の方がデザインに気を使っているものも見られる。今や商業施設のデザインをしていた設計会社が、物流施設をデザインするような時代だ。そのうち、隈(くま)研吾デザインの物流施設も現れそうだ。

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