まるでショッピングモール! 全国各地の「物流施設」が近年、大変身を遂げている理由
進化する物流施設

都市開発を手掛けてきた大手デベロッパーの三井不動産(東京都中央区)は「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)」のブランドで新たな物流施設の開発を促進している。MFLPではグリーン電気の提供、脱炭素化、ICTソリューションの提供など、これからの時代に対応した機能を導入している。
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三井不動産ロジスティクスパーク船橋(千葉県船橋市)では、2021年6月に集大成となる地上8階、延床面積約27万平方メートルの「MFLP船橋III」がオープンした。約2万平方メートルの緑地空間「MFLP船橋・&PARK」やアイススケートリンク・三井不動産アイスパーク船橋が付帯された一大都市開発だ。付帯施設では近隣の商業施設との連携も考えている。MFLP以外にも全国には物流施設を核とした街づくり型の開発計画が見られ、新たな都市開発の形が動き始めている感がある。
1980~1990年代は、百貨店やショッピングなどの大型商業施設が街づくりの核施設を担ってきた。特に郊外エリアにおいてはリージョナル型ショッピングセンター(RSC)が地域活性化をけん引してきた。これらに変わって物流施設が街づくりの核施設となるならば、都市開発のスキームが大きく変化する可能性がある。
例えば、物流施設ならば開発に際して足元マーケットのポテンシャルは関係なくなる。近年、郊外における新業態開発はRSCの市場寡占、さらにRSCテナントの硬直化によって停滞していたと言えるが、物流施設開発によって新たな活気が生まれるのならば、郊外エリアにおける新業態開発が活性化する期待もある。
交通に至便な立地を生かして、広域から集客できる目的性の高い施設を併設すれば、地域における集客核としての期待も高まる。スポーツやエンターテインメントなど多少の騒音がある施設でも開発しやすいかもしれない。
とは言え、物流施設は本来、一般の人が集まるような場所ではないため、現時点での違和感は大きい。物流による道路環境も不安になってくる。今後、このような開発が増えていくことは間違いなく、街づくりの常識をどう変えていくのか興味深いところだ。
物流施設がけん引する新しい街づくりを注視していきたい。