なんと一般人の4割がEV・PHEVに関心! ただし予算は「250万円未満」、この現状に日本市場は迅速対応できるか
消費者とその行動を見つめ直す
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)、半導体供給の逼迫(ひっぱく)、さらには、ロシアのウクライナ侵攻など、自動車業界を取り巻く外部環境の絶え間ない変化は、わが国の消費者にも大きな影響をもたらしている。そして、「行動変容」という言葉だけでは言い表せない変化が、ここ数年の間で見られている。
このようななか、いま一度、消費者とその購買行動をつぶさに見つめ直すことが、自動車業界の今後をひもとくために、極めて重要な一歩となるだろう。
本稿では、デロイトトーマツグループ(東京都千代田区)による「2022年 次世代自動車に関する消費者意識調査」に基づいて、消費者の“今”に向き合ってみたい。
「持つ」か「持たないか」
私たちが普段感じている以上に、自家用車保有は地方に偏重している。
地方では7割の消費者が自家用車を必要としているが、東京23区に限ると反対に7割の消費者が自家用車を必要としていない。おしなべて見ると、全国平均で約半分の消費者が自家用車を必要としており、またその大半が、一度「持つ」と、引き続き「持ち続ける」ようだ。
公共交通機関の利便性が相対的に限定される地方においては、自家用車が「日常生活の足」として重宝され、その一部として溶け込んでいる。もちろん、「週末のレジャーの道具」として、自家用車を「持つ」という都市における消費者行動も、筆者(菅野弘孝、経営コンサルタント)個人としては共感できる事柄だ。
「持たない」消費者にとって、いわゆる車の“シェアサービス”は、「維持費不要」という圧倒的な魅力もあり、主要な代替交通手段となることも期待されるが、まだまだ「日常生活の足」とはなっていない。
とはいえ、出張や旅行において一定程度活用されていることもあり、今後、
・確実に
・どこでも
・簡単に
使えるようになれば、その普及は進んでいくだろうし、各プレーヤーによる工夫――例えば、短時間利用についてのお得感ある料金(220円/15分のような)等――が既に見られ始めている。