マクドナルドの「ドライブスルー」1号店、どこか知ってる? 車に乗ったまま簡単購入、コロナ禍で再注目の業態に迫る
スタートは飲食業にあらず
新型コロナウイルスの感染拡大で、映画館・ライブハウスなどのエンターテインメント業、ホテル・旅館などの宿泊業、レストラン・ファストフードなどの飲食業は利用が自粛され、深刻な業績不振に陥った。
そんななか、他人との接触が少なく、ソーシャルディスタンスが確保できることから、車中業態の利用が増加した。エンターテインメントで言えばドライブインシアター、宿泊業で言えば車中泊、飲食業で言えばドライブスルーである。
飲食業に関しては、UberEatsやゴーストレストラン(実店舗を持たず、レンタルキッチンなどで作った料理を配達代行サービスを使って販売する飲食店)などの宅配事業の拡大が注目されたため、ドライブスルーはそれほどの話題にはならなかったが、マクドナルドなどでは、コロナ禍の売り上げが好調だった。
ドライブスルーは、自動車から降りることなく商品を購入したり、いろいろなサービスを受けたりできる。1930年代にアメリカで生まれ、起源は曖昧だが、最初は飲食業ではなく
「銀行」
だったとされている。
利便性だけでなく、防犯的な意味合いも強かったようだ。国土が広大でモータリゼーションの発達したアメリカでは、車での利用を前提にしたさまざまな業態が発展した。ドライブインシアター、キャンピングカー・モーテル、そして飲食業ではドライブインやドライブスルーである。
日本は1960年代に導入
日本での起源も曖昧だが、アメリカから30年ほど遅れること1960年代には導入されている。企業経営者がアメリカを旅行した際、ドライブスルーを見た感銘を受けたのが始まりだ。当時の記録として、日本橋の山本海苔店や、新潟のファストフード店フレンドが残っている。
1977(昭和52)年10月にはハンバーガーチェーンのマクドナルドが、環八高井戸店に初めてドライブスルーを導入している。
当時の日本はモータリゼーションが発達してきたものの、国土の広さなどアメリカとは都市構造が根本的に異なっていた。ロードサイドなど郊外開発もまだ途上で、自動車から購入できる利便性はさほどではなかった。むしろ物珍しさや、利用することが何かスマートな感じがする雰囲気が若者に評価されて人気となった。ドライブスルーは効率重視のアメリカらしい業態だが、当時の日本人においては
「何もそこまで横着しなくても」
と思った人も少なくないだろう。