「ロシア産天然ガス」の輸入禁止が与えた痛恨のダメージ ヨーロッパの台所事情は出口が見えないカオスな状況になっていた

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ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ヨーロッパの天然ガス事情は出口が見いだせない状況になっている。一体なぜか。

ドイツがLNG基地の建設を決断する背景とは

LNGタンクのイメージ(画像:写真AC)
LNGタンクのイメージ(画像:写真AC)

 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、欧州連合(EU)は、2027年までにロシアからの天然ガスや原油の輸入を停止する計画である。ロシアからの天然ガスの輸入に頼っていたドイツは、早速、液化天然ガス(LNG)ターミナルの建設を開始した。また、スペインもEUのエネルギーサプライヤーとなる意欲を示している。大きく様変わりしつつあるヨーロッパのLNG事情について解説する。

 EUは「REPowerEU計画」を策定した。元々地球温暖化対策としてEUが取り組むとしていた「Fit for 55」とセットで推進するとのことだ。その計画の中で、3000億ユーロ(約40兆円)を投入し、省エネルギー、ロシア以外からの天然ガスや原油の輸入、再生可能エネルギーの開発に取り組むとしている。

 実は、ドイツは天然ガスをロシアからパイプラインを通じて輸入しており、LNG船による輸入を行っていなかった。ロシアからの天然ガスの輸入禁止の動きを見据え、ロシアのウクライナ侵攻後の早い時期に、ドイツのオーラフ・ショルツ首相は、LNGターミナルの建設を表明していた。世界各地からの2022年末の輸入開始を目指して、既に建設を開始しており、まさに突貫工事である。

 ドイツ政府はLNGターミナルの必要性について、自国のエネルギー安全保障および特定の国に依存しないエネルギーの自由な調達の確立を根拠に挙げている。

 もちろん基地の建設だけでなく、外交交渉も急ピッチで行われている。ショルツ首相は、5月22日に西アフリカのセネガルを訪れて、詳細は明らかになっていないものの、天然ガス採掘に協力することを表明した。セネガルのマッキー・サル大統領も、ドイツならびにヨーロッパへの天然ガスの輸出に興味を示している。